研究課題/領域番号 |
21K05830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
深田 耕太郎 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (40633178)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | まさ土 / 水分量 / 平行板コンデンサー / 静電容量 / 相対湿度 / 水分 / コンデンサー / 水の連続性 / 土壌水分 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、コメの減反や農地の利用方法の多様化にともない、乾田と湿田を見分けて適地適作を行う、水田に明渠や暗渠を施工し乾田化するといったことが行われている。このような状況下で、一圃場や一畝など、メートルスケールの範囲にわたって、水分量を簡単に測定する必要が生じている。既存の方法は、この目的に叶うほど測定範囲が広くない。そこで本研究では、コンデンサーを利用した新しい測定方法を開発する。これは、既存の誘電率測定タイプではなく、土壌をコンデンサーの極板として使う。室内試験と野外実験を行い、コンデンサーの原理を利用した新しい土壌水分測定法が使えるかどうか、どの程度まで測定範囲を広げられるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、土壌を平行板コンデンサーの極板とするシステムの静電容量を調べることで、土壌中に存在する水分の量や分布などの情報を取り出すことができるか、明らかにしようとしている。18cm×32cmのステンレス板とプラスチックシートと湿潤状態のまさ土からなる平行板コンデンサーを作成し、エヌエフ回路設計ブロックのC/Vコンバータとデジタルマルチメータをつないで静電容量を測定できるシステムとした。そして、平行板コンデンサーを一回り大きい蓋つきアクリル容器内に静置し、SHINYEIの鏡面冷却式露点計(S-1S-0)で一日一回、容器内の相対湿度を測定した。同時に、平行板コンデンサーの質量と静電容量を測定した。このシステムでは、約2か月でまさ土の体積含水率が12-14%から2%(風乾)まで減少した。これに対応して、静電容量は1.0-1.3nFから0.7nFまで減少した。体積含水率4~5%あたりで、静電容量の減少速度が大きくなった。このときの相対湿度は約96%であった。次に、一つ目の実験と同じようにまさ土を極板とする平行板コンデンサーを作成し、まさ土を少しづつ削りとりながら、静電容量を測定した。その結果、まさ土の質量と静電容量は線形な関係を示した。平行板コンデンサーの理論をもとに考えると、この結果は、まさ土が極板面積として機能していることを示すものである。まさ土を乾燥させたとき、静電容量が体積含水率に対して非線形に減少するのは、まさ土が極板として機能するための水分量に閾値が存在しているからだと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相対湿度や静電容量の測定に、信頼性の高い精密な機械を導入することができた。測定結果も正確な値を出していると考えられる。同じ実験システムを用いて実験条件を変化させると、異なる変化の仕方を観測できた。以上のことから、自作の平行板コンデンサーの性質を正確に、かつ詳細に調べることができていると考えられる。平行板コンデンサーの性質を調べることが本研究の主たる目的であったため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平行板コンデンサーの形状を変更し、乾燥した土壌が毛管現象により吸水する過程や表面から乾燥する過程を、試料の質量や静電容量の測定により調べる。プラスチックシートを内径5cm、高さ10cm程度の円筒形に丸めたようなものを作り、側面内側と外側に銅箔やアルミ箔を張り付けて、円筒内のまさ土が極板として機能するような測定システムを作製する。まさ土をいったん風乾させたのち、底面より吸水させる。円筒容器内に水が浸透していく過程を、試料の質量の増加や静電容量の増加として測定する。当面はこのような実験を行っていく。
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