研究課題/領域番号 |
21K05880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
花島 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長 (20414708)
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研究分担者 |
前田 武己 岩手大学, 農学部, 准教授 (40333760)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 堆肥 / 低温環境 / 微生物 / 温度 / 基質 / 細菌 / RNA / 安定同位体 / 堆肥化 / 乳牛ふん |
研究開始時の研究の概要 |
堆肥化処理は、乳牛ふんを有機質肥料に変換させる方法として広く用いられている。しかし低温環境下では、堆肥化を担う微生物群の活性が低下することで有機物分解が遅滞し、堆肥温度も上昇しないために、雑草種子、病原菌、および植物病害因子が堆肥中に残存する。そこで本研究では、低温環境下における堆肥化処理を活性化するために、低温環境下において代謝活性が高い微生物、加えてそれら微生物が利用している栄養成分(基質)を特定し、低温微生物にとって利用性の高い基質を人為的に補強することで堆肥化のスタートアップを強化し、低温環境という悪条件でも十分な温度上昇を実現できる堆肥化処理法を開発する。
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研究実績の概要 |
寒地の低温期には、堆肥化反応が起こらない、または反応が遅延する傾向にある。しかし堆肥温度を中温域まで上昇させることができれば、その後は加速度的に温度上昇が始まる現象が認められている。そこで本研究では低温環境下の堆肥化反応のスタートアップに重要な役割を果たす微生物および基質の特定を目的に掲げた。 昨年度の結果では、堆肥温度が5℃から12℃まで上昇する際に存在比が有意に増加する7つの微生物種が検出されたが、うち1つは未分類と判定されている。遺伝子配列の相同性検索では未培養細菌の16S rRNA遺伝子以外にも、真核生物のミトコンドリアDNA配列との相同性も高いという結果が得られたことから、本年度は最初にこの未分類と判定された微生物種の特定を試みた。昨年度採取したRNAサンプルについて、次世代シーケンサーによる18S rRNAをターゲットとしたアンプリコンシーケンスを実施した結果、堆肥温度が上昇する際に真菌叢が変化すること、また未分類と判定された遺伝子配列はMucoromycotina亜門に属する真菌に由来する可能性が示された。 堆肥原料に炭素源として、ペプトン、デンプン、およびオレイン酸を添加し、低温環境下における堆肥温度上昇効果を比較した。現在のところ、ペプトンおよびデンプンは、オレイン酸の添加に比較して低温環境下での温度の立ち上がりを早める傾向が認められているが、試験途中で温度制御に用いる低温恒温槽1台が動作不良となったため、新たに機器を購入し、次年度も引き続き炭素源添加効果を検証する。最終年度に実施予定の炭素源を原料に添加したパイロットスケール試験の予備試験として、秋から冬にかけての寒冷期に受動通気による堆積型堆肥化試験を実施した。強制通気を伴わない堆肥化処理においても、50℃以上の温度上昇が認められたことから、次年度は受動通気方式によるパイロット試験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画立案時の仮説では、堆肥化過程での温度上昇は主として細菌の代謝活性に起因するものと予想していたが、細菌以外にも真菌の関与を示唆する結果が得られており、より広い微生物種をモニタリングする必要性が出てきている。堆肥原料への炭素源の添加試験については、低温環境を保持に使用する低温恒温槽の不調により、試験を一時中断せざるを得ない時期が生じた。堆肥温度の制御は、低温については低温恒温槽からの冷水の循環、高温についてはヒーターによる水の加熱により温度を制御しているが、堆肥の温度上昇局面では冷却と加熱が拮抗し、低温恒温槽のコンプレッサーに過度な負荷がかかることで機器のトラブルが生じたと推測された。よって制御プログラムの一部を改変し、次年度も引き続きデータの積み重ねを行う予定である。このように機器の不調、制御システムの改変、仮説と異なる結果が得られていることから回り道を余儀なくされており、予定よりも遅れているとの評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果から、低温環境下の堆肥における温度上昇は細菌だけではなく真菌の関与についても考慮する必要があることから、次年度からは両者のモニタリングを実施する予定である。また当初の予定では、低温環境下において温度上昇効果が認められる炭素源を特定し、その炭素源について安定同位体標識された基質を用いた堆肥化試験を実施予定であったが、機器の不調により見込みのある炭素源の絞り込みが十分でないため、その特定を急ぐこととする。
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