研究課題
基盤研究(C)
食肉の食味性を決定する上で、家畜の骨格筋線維タイプ組成は非常に重要な因子である。筋線維タイプは後天的に変化することが分かっているが、単一筋線維レベルでタイプ変化を遂げる際、筋線維を支配する運動神経がタイプ変化にどの程度影響を及ぼすのかほとんど分かっていない。筋線維は各々特定のタイプの運動神経からの支配を受けているため、線維タイプ移行成立の際にも各々のタイプに呼応する運動神経の再神経支配が必須であると予想される。そこで本研究では、筋損傷から骨格筋再生途上で増加する「ハイブリッド筋線維」の増加とその後の減少が坐骨神経切除によって影響を受けるか検討することで運動神経の役割を明らかにすることを目指す。
骨格筋は高い再生能力を有し、損傷を受けても速やかに回復する。筋線維タイプ組成は運動トレーニングなどの環境的要因で後天的に変化しうることが知られているが、筋再生後の筋線維タイプ組成および運動神経の関与については明らかではない。そこで本研究では、複数種の筋損傷を誘導したマウスの前脛骨筋の、損傷後の筋線維タイプ組成を経時的に観察し、筋再生後の筋線維タイプ組成がどのように変化するかを調べた。損傷後、筋線維タイプ組成は2Bから2Xに一過性に変化し、時間の経過とともに非損傷区と同様の組成に戻ることが明らかになった。運動神経との関連性については今後も検討の継続が必要である。
本成果は筋損傷後の回復過程における骨格筋再生について、その挙動の一端を明らかにしたものである。本研究成果を起点として、筋線維タイプの細胞レベルでの変化と、それに続く運動神経支配による筋線維タイプ移行機構のしくみが明らかになることで、将来的に、食味性の高い良質な食肉を創出できるだけでなく、ヒトにおいても高齢者の自立歩行のための筋持久力の向上など、様々な分野に応用されることが期待できる。
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