研究課題/領域番号 |
21K05929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
關 文緒 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (20443111)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 鯨類モルビリウイルス / H タンパク質 / SLAMF1 / Hタンパク質 / SLAM / 受容体 / モルビリウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、(1)DMVのウイルスタンパク質を従来のCeMV種と比較し、SLAM使用能力の変化を解析することで、CeMV従来種からの感染性の変化を解明する。(2)日本近海におけるDMV感染状況を調査し、北大西洋におけるDMVの感染拡大について明らかにする。(3)種々の海洋哺乳類SLAMに対する使用能力を解析することで感染拡大において影響を受ける動物種を明らかにする。
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研究実績の概要 |
流行を拡大しているdolphin morbillivirus (DMV)の特徴をSLAM利用能力から明らかにするために、他の鯨類モルビリウイルスとSLAM利用能力について比較を行った。dolphin morbillivirus (DMV)とporpoise morbillivirus(PMV)のそれぞれのHemagglutinin (H)タンパク質のSLAM結合部位を含むHタンパク質のC末端側のアミノ酸置換が利用能力の変化を生じており、PMV株ではモルビリウイルスで広く保持されている残基のアミノ酸置換が融合能力を変化させていた。 本年度は、昨年度の研究を踏まえDMVの融合能力の上昇について解析を進めた。Dual split法を用いた細胞融合測定により、DMVのFusion (F)タンパク質はSLAM非依存性の細胞融合を生じることが明らかとなった。このことから、DMV Fタンパク質は強い細胞融合能力を持っており、DMV株の病原性への関与が推測される。 また、本年度は国内海岸線に漂着した鯨類サンプルに対し鯨類モルビリウイルス感染の有無のスクリーニングを実施した。当初nested-RT-PCR法による検出を目指したが、real-time RT-PCR法による、より広い鯨類モルビリウイルス種を検出可能な方法が報告されたため、検出方法を変更して解析中である。また、Vero細胞にHAタグ融合イルカSLAMを発現させた細胞を用いて、ウイルス分離を試みた。今年度解析した検体ではウイルスは分離できず、海外流行株のような陽性検体は確認されていないが、日本近海における鯨類モルビリウイルス感染の広がりについて新たな知見が得られるように解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他の鯨類モルビリ種と異なりDMVが感染を拡大している理由につながるHタンパク質の変化及びFタンパク質の変化が明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
北大西洋に鯨類モルビリウイルスの感染が拡大しているかについては日本国内海岸の漂着鯨類の解析を進めることで、鯨類モルビリウイルス感染の有無について知見を得る。また、DMVの病原性及び感染性の解析は、新たに鯨類モルビリウイルスの1種であるpilot whaleモルビリウイルスの遺伝子配列が報告されたため、これとも比較を行い、DMVがより特徴的なH及びFタンパク質を持つことを明らかにする。
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