研究課題/領域番号 |
21K06010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 広介 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90466673)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 細胞老化 / 炎症老化 / クロマチン / ヒストンシャペロン / SASP / エピジェネティクス / 加齢性疾患 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、TAF-Iの細胞老化における機能をモデル細胞系で明らかにし、かつ適切な時期での遺伝子欠損を可能とするTAF-IのcKOマウスを作製してTAF-Iのマウス個体における加齢表現型への関与を明らかにすることを目的とする。研究期間の1-3年目初頭までに培養細胞での細胞老化モデル系を用いてTAF-Iによる老化表現型の制御機構、およびSASP遺伝子発現の制御機構の解明を目指す。また並行してTAF-I遺伝子のコンディショナルKOのための遺伝子改変マウスを作製し、特異的組織でのる加齢性表現型におけるTAF-Iの機能を明らかにする。また、本研究成果を3年目までに論文として発表する。
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研究成果の概要 |
本研究は、培養細胞における細胞老化誘導系を用いてクロマチン制御因子TAF-Iによる細胞老化の制御機構の解明を目的とした。ヒトの正常繊維芽細胞でTAF-Iの発現を抑制し、がん遺伝子を発現させて細胞老化を誘導したところ、炎症性サイトカイン遺伝子の発現異常や、細胞老化に特異的なヘテロクロマチン構造の形成に異常が観察された。またそれらの原因が、核に局在するプロテアーゼであるカテプシンL1の発現抑制を介したヒストンH3のプロセシングの異常によることを明らかにした。以上の結果より、TAF-Iは特異的なクロマチン構造の制御を介して、細胞老化に付随する遺伝子発現の制御に関わる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超高齢化社会をむかえつつある我が国において、加齢に伴う疾患や身体機能低下の予防と治療法の確立は重要な課題である。このような加齢性疾患は慢性炎症が根本的な原因と考えられており、炎症老化(inflammaging)と呼ばれている。近年、炎症老化には体内での老化細胞の蓄積が関与している可能性が示唆されており、細胞レベルでの老化とそれに伴う炎症反応活性化のメカニズムを解明することは、加齢性疾患の予防と治療法の確立において重要である。本研究はそのような細胞老化のメカニズムの一端を解明したものであり、学術的にも社会的にも意義をもつものである。
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