研究課題/領域番号 |
21K06033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶋田 睦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70391977)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膜タンパク質 / 電子顕微鏡 / 脂質二重膜 |
研究開始時の研究の概要 |
生体高分子の一つであるタンパク質の構造決定は、その機能の理解に不可欠であり、創薬の現場においてこれまで顕著に貢献してきた。本申請は重要な創薬ターゲットである、脂質二重膜中に存在し、機能する膜タンパク質の、より生体内に近い、脂質二重膜中における構造情報を、簡便、高効率に取得できる新技術の開発を目指すものである。この技術は既存技術と比較して質、量、両面で多くの利点を持ち、今後、膜タンパク質の構造生物学を大きく変革する可能性がある。
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研究実績の概要 |
今年度は研究代表者の開発した手法により、予定通り、創薬上の重要性の高いものを含む3種類の新規標的膜タンパク質について、その脂質二重膜中での構造情報の取得を試み、その全てについて、会合状態の情報を含む構造情報の取得に成功した。これにより本手法の汎用性がさらに確固たるものになった。またそのうち1種類の膜タンパク質については、この膜タンパク質を標的とする2つの抗体医薬品との複合体からの構造情報の取得を試み、構造情報の取得に成功した。また同時に、この膜タンパク質の会合状態への抗体医薬品の結合の影響を検討することにも成功した。さらにこの膜タンパク質に対しては、抗体医薬品を一次抗体として、金ナノ粒子標識二次抗体により免疫染色を行うことにより、目的膜タンパク質であることを確認した。また今年度は、これまでに標的としていた膜タンパク質に対しても、電子線トモグラフィーデータの取得や、金ナノ粒子標識二次抗体による免疫染色を精力的に進め、これらの手法をさらに洗練させた。さらにクライオ電子顕微鏡法によるデータ収集については、国内の2機関でのデータ収集を行なった。その結果、3種類の膜タンパク質について、負染色法を用いるよりも高い分解能で脂質二重膜中の膜タンパク質やその会合体だと考えられる像の取得に成功した。また今年度は、来年度以降の研究のさらなる発展に向けて、10種類以上の新規膜タンパク質試料と、それらに結合する可溶性タンパク質や抗体医薬品の調達を進めた。さらに本手法の海外での知的財産権保護のため、米国、欧州、中国、韓国、カナダ、オーストラリアでの国内移行手続きも開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は予定通り、複数の新規標的膜タンパク質について本手法による構造情報の取得を行い、解析対象の膜タンパク質をさらに拡大できた。これにより本手法の汎用性、有効性がさらに確固たるものになった。また予定通り、標的膜タンパク質と抗体医薬品との複合体の構造情報を取得することもできた。また電子線トモグラフィーや免疫染色を多くの試料に適用し、これらの手法をより洗練することができた。またクライオ電子顕微鏡を用いたより高分解能でのデータ取得も外部の2機関で試み、検討を進めることができた。さらに米国、欧州、中国等の海外での国内移行手続きも開始できた。このように昨年度に予定したほぼ全ての計画について期待通りの進捗があったため、区分を「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は解析対象の膜タンパク質をさらに拡大し、本手法の汎用性、有効性の検討をさらに進める。新規の標的としては創薬上重要なGPCRを含め、既に10種類以上の膜タンパク質試料、またこれらの膜タンパク質と結合する可溶性タンパク質や、二重特異性抗体を含めた抗体医薬品の調達を終えているため、順次データの取得を進める。また本手法と電子線トモグラフィーを組み合わせた手法や本手法と免疫染色を組み合わせた手法も適宜これらの膜タンパク質試料に適用し、これらの手法をさらに洗練させる。またクライオ電子顕微鏡法を用いた電子線トモグラフィーなど、より高分解能での解析につながる技術開発も進める。また本手法の知的財産権の保護に関し、海外の企業との本手法を用いた医薬品の共同開発を適切に推進するため、今後適宜、米国、欧州、中国等での必要とされる権利化手続きに対応する。
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