研究課題/領域番号 |
21K06054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
伴 匡人 久留米大学, 分子生命科学研究所, 准教授 (00579667)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 膜融合 / GTPase / リポソーム / 試験管内再構成 / mitofusin / 脂質膜 / in vitro再構成 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内のエネルギー生産を担うミトコンドリアは、融合と分裂によりその形態を制御している。形態制御はミトコンドリア機能と密接に相関しており、その不全は細胞機能の喪失や病気の原因となる。膜融合因子としてGTP加水分解タンパク質 Mfnが同定されているが、比較的大型の膜蛋白質であるために、構造生物化学に基づく研究がほとんど行われず、その作用機構は長らく解析されてこなかった。本研究では、組換えMfnと人工脂質膜を使った膜融合反応のin vitro再構成アッセイにより、「Mfnの膜結合・融合の駆動力」を明らかにし、ミトコンドリア外膜融合の分子機構理解を飛躍的に発展させることを目的とする。
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研究実績の概要 |
細胞内のエネルギー生産工場として機能するミトコンドリアは、融合・分裂によりその形態を制御する動的な細胞小器官である。融合・分裂は形態のみならず、ミトコンドリアの多彩な機能の制御に必須の現象であるが、融合・分裂に中心的な役割を持つGTP加水分解タンパク質(GTPase)がどのように機能するのか?その詳細については不明な点が多く残されている。これまでに精製タンパク質と、人工脂質二重膜小胞(リポソーム)を用いた膜融合反応の試験内再構成により、ミトコンドリア内膜融合の分子機構解明に努めてきた。 本研究では哺乳動物のミトコンドリア外膜融合GTPase mitofusin(Mfn)の膜融合における膜結合・膜融合の駆動力、分子機構を明らかにするために、詳細解析を行っている。令和4年度は、令和3年度に確立したMfn2による膜融合の試験管内再構成を使い、膜融合反応の詳細解析を行った。まず膜融合におけるGTP加水分解の寄与を解析した。Mfn2による膜融合は、GTPを加えた時にのみ観察され、GDP及びGTP非加水分解アナログを加えた時には観察されなかった。培養細胞や単離ミトコンドリアを用いた先行研究と同様に、Mfn2による膜融合は、GTP加水分解に依存することを示した。またミトコンドリア内膜融合GTPase OPA1とは異なり、融合する両側の膜にMfn2が含まれる場合に、有意な膜融合が観察された。続いて、膜融合反応における脂質膜組成の解析を行った。Mfn2はミトコンドリア以外にも、小胞体に局在し、ミトコンドリアと小胞体の繋留に機能することが報告されている。小胞体膜をモデルとしたリポソームに、Mfn2を挿入したところ、GTP存在下でも膜融合の著しい低下が観察された。これらの結果から、Mfn2による膜融合は、GTP加水分解及び、脂質膜の脂質組成に依存することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に確立したMfn2による膜融合の試験管内再構成を使い、Mfn2による膜融合における脂質の役割について、新たな知見を得ることができた。またリポソーム膜中におけるMfn2の会合状態の解析に着手しており、次年度は、Mfn2の会合状態と膜融合に関する知見が得られる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、膜融合の前段階である膜結合反応の詳細解析を行い、Mfn2による膜融合反応の全貌の解明を進めていきたい。本研究の先行研究で使用した磁気ビーズを用いた解析では、膜融合と膜結合の識別が難しいことから、新規解析法及び、解析に適したMfn2を含むリポソーム調製の確立にも取り組んでいく予定である。
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