研究課題/領域番号 |
21K06081
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三崎 亮 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 准教授 (20571186)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 糖鎖 / フコース / 構造類似糖 / チャイニーズハムスター / 抗体 / アラビノース / CHO細胞 / 脱フコシル化 |
研究開始時の研究の概要 |
Fcγ受容体との結合能力や抗体依存性細胞傷害活性など、抗体性能に寄与する因子の一つが抗体重鎖に付加したN型糖鎖の構造である。これまで抗体性能向上のため不要な糖残基の除去、培養条件の検討や糖転移酵素の過剰発現がなされ、一定の成果を見せている。本研究課題では糖転移酵素の基質認識のゆらぎを利用し、抗体生産細胞に基質の構造類似糖を添加することで本来細胞が作ることのできない新規糖鎖の合成システムを構築する。当該基質構造類似糖を細胞培養液に添加、糖鎖へ付加させる。これまでとは異なるアプローチで抗体の糖鎖を改変し、抗体性能を向上できる新規糖鎖構造のリスト化を目指す。
|
研究成果の概要 |
チャイニーズハムスター肺(CHL)細胞のフコシル化糖鎖合成経路を利用して、フコースの構造類似糖であるアラビノースを細胞内N型糖鎖に付加した。細胞を10 mMのアラビノース存在下で14日間培養し、抽出したタンパク質の糖鎖構造を解析したところ、全フコシル化糖鎖量の約4%の割合でアラビノース結合型(アラビノシル化)糖鎖を得た。さらに、フコシル化糖鎖de nove合成経路を破壊した細胞で同様の実験を行ったところ、フコシル化を抑制しつつアラビノシル化糖鎖量を野生型の3倍以上増加することに成功した。これらの結果はCHL細胞が細胞外より添加したアラビノースをサルベージ経路を使って利用できることを示している。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、糖鎖合成に関わる酵素の基質特異性のゆらぎに着目し、細胞内で本来合成しない新規糖鎖を細胞外から安価な単糖を添加するだけで、しかも細胞内在性の糖鎖合成経路を利用して簡便に作出することに成功した。タンパク質の糖鎖構造はタンパク質自身の生物学的活性に影響を与える。本研究が示したように、簡便な新規糖鎖合成システムを確立できれば、より生物学的活性を高めた高付加価値タンパク質の生産が可能となる。
|