研究課題/領域番号 |
21K06135
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 浩介 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40624599)
|
研究分担者 |
新井 康通 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (20255467)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 百寿者 / トランスクリプトーム / シングルセル / スーパーセンチナリアン / CD4陽性キラーT細胞 / シングルセルトランスクリプトーム / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
老化にともなう免疫機能の低下は健康長寿の大きな障害である。申請者らは最近の研究で、110歳以上の超高齢者の血液から、通常はほとんど存在しない「CD4陽性キラーT細胞」を見出した。しかし、現在のところ、このような特殊なT細胞が老化の過程でどのように増加するのかは、明らかになっていない。 本課題では、RNAとタンパク質を同時に解析できるようになった最新の1細胞技術を用いて、70歳以降の老化後期におけるCD4陽性キラーT細胞の増加メカニズムを解明する。
|
研究実績の概要 |
昨年度までの研究において、110歳以上であるスーパーセンチナリアン10名を含む合計28名から採血を行い、1細胞レベルのT細胞トランスクリプトーム・表面タンパク質・T細胞レセプターのシークエンスデータを得た。これらのデータを解析し、CD4キラーT細胞を特定した上で「CD4ヘルパー」と「CD4キラー」の中間的な特徴をもつT細胞群の検出に成功した。 本年度は、CD4キラーT細胞およびCD8キラーT細胞の特徴を明らかにするために、T細胞レセプターの配列に焦点をあてた解析を行った。その結果、CD4ナイーブT細胞とヘルパーT細胞では、T細胞受容体(TCR)の配列に重複はほとんど見られず、高い多様性を示した。その一方で、CD4キラーT細胞では多くのT細胞が同一のTCR配列をもっておりクローン性増殖が確認された。クローン性増殖は、スーパーセンチナリアンだけでなく100歳代やそれ以下の年齢でも見られた。このことから、CD4キラーT細胞の増加メカニズムの1つはクローン性増殖であることが推定できる。また、ごく少数のCD4キラーT細胞が大きく増殖していることも観察された。最も頻度の高いTCRは、CD4キラーT細胞の20%から40%程度を占有しており、比較的少数のT細胞の大きな増殖がTCRの多様性を減少させる原因となっていた。これとは逆に、CD4ナイーブT細胞とヘルパーT細胞では高齢であっても10%を超えるような高い占有率を持つTCRは存在せず、TCRの多様性はある程度維持されていることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T細胞レセプターの配列解析が進み、予定通り研究が進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、CD4キラーT細胞はスーパーセンチナリアンだけでなく、センチナリアンや100歳以下の血液中にも存在することが明らかになった。これらの細胞は過剰なクローン増殖を起こしており、少数の種類のT細胞レセプターが大きな割合を占めていた。また、CD27やCD28などの表面タンパク質を失っており、分化が進んだT細胞の特徴を持つ。 過剰に増殖したCD4キラーT細胞がT細胞の機能を維持しているのか、あるいは疲弊したT細胞のように反応性が乏しい不活性な細胞になっているのかは明らかではない。そこで次年度はCD4キラーT細胞に活性化刺激を与え、どのような反応を起こすのかを分子レベルで明らかにする。
|