研究課題/領域番号 |
21K06208
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 真幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80546292)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 転写 / small RNA / mRNA 分解 / リボソーム / ホウ素 / 翻訳 / mRNA分解 / uORF / 5'非翻訳領域 |
研究開始時の研究の概要 |
植物は様々な土壌環境に適応する能力を進化の過程で獲得し、遺伝子の発現を制御する能力を進化させてきた。遺伝子発現制御には、転写、転写後、翻訳、翻訳後と様々なステップでの制御がある。一般的に、転写活性を下げることは、長期的な適応のための効果の高い戦略であるが、植物栄養など、動的に変化する条件では、現在の発現レベルを効率的に感知し、様々な発現ステップで対応できるフィードバック制御であることが望ましい。しかし、このような動的な変化に対応した植物の発現システムについて未解明の部分が多い。本研究では環境変化に応じた、無機栄養の翻訳制御を介した転写制御のフィードバック機構を明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
研究ではホウ素濃度に応答した、シロイヌナズナのホウ素輸送体、NIP5:1の翻訳制御を介したmRNA分解による転写制御のフィードバック機構を明らかにすることを目的とし、以下の実験を行うことで、翻訳、mRNA分解、転写の制御の全体像を明らかにすることにした。 1)NIP5;1のmRNA分解を介した転写制御機構の解析。2)AUG-UAA上でのリボソーム停滞により誘導される未知エンドヌクレアーゼの解析。3)NIP5;1のホウ素依存的な翻訳制御に関わるターゲット因子の同定とその機能解析 研究計画の2年目以降の計画の結果についての実績概要を報告する。 1)実験計画では、ChIP-および、CLIP-seq解析による、NIP5;1のsRNAの結合場所を特定することを掲げていたが、最近明らかになっていることとして、どの生物でも、sRNAはDNAと結合するがRNAと結合することは確認されていないという事実があった。つまり、NIP5;1のsRNAもDNAと相互作用する可能性が高いことから、ChIP-および、CLIP-seq解析は行わないことにした。 2)NIP5;1のホウ素依存的なmRNA分解に関わる遺伝子の変異株を使って、Degradome解析を行い、NIP5;1以外のの標的遺伝子があるかどうかを調べた。結果、おもしろいことに、NIP5;1以外の標的因子はみつからなかった。このことから、この遺伝子はNIP5;1特異的に制御するRNAエンドヌクレアーゼである可能性が強いことが示唆された。 3)NIP5;1のホウ素依存的な翻訳制御に関わる因子として見つかったeIF5A-2遺伝子は、レアコドンなどによって停滞しているリボソームの翻訳を促進する働きがあることが知られており、現在NIP5;1で停滞しているリボソームの翻訳終結を促進する働きがあるかどうかをRIbo-seqによって解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)2年目に予定していた解析の予定が変更されたため、いままでのデータをまとめることにした。 2)2年目に予定していたdegradome-seqの解析も終わり、まとめにはいっている。 3)NIP5;1のホウ素依存的な翻訳制御に関わるeIF5A-2の機能は酵母や動物などでよく研究されており、植物も同じような働きがあると考えられ、NIP5;1のホウ素依存的な翻訳制御の仮説が立てやすかった。eIF5Aは停滞したリボソームの翻訳再開を担う重要な因子であることが酵母や動物では知られているので、植物での翻訳の影響に関してRIbo-seqを用いた網羅的な解析も新たに進めていることにした。
|
今後の研究の推進方策 |
1)、2)は論文にまとめる。 3)eIF5A-2の植物全体の機能について調べるため、網羅的な解析を行う予定である。
|