研究課題/領域番号 |
21K06338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
春田 伸 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50359642)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 好熱性細菌 / 細胞間コミュニケーション / シグナル伝達 / 滑走運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、好熱菌で未発見の細胞間コミュニケーションを同定し、そのメカニズムの全容を解明する。これまでの研究で、好熱性細菌クロロフレクサスが未同定の細胞外低分子シグナル物質を生産し、細胞運動を制御していることが見つかってきた。本研究では、進化的に古い起源を有するクロロフレクサス属細菌について、細胞間情報伝達シグナル分子を同定し、そのシグナル分子の合成、制御、作用機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、Chloroflexus aggregansを対象とし、好熱菌に未発見の細胞間コミュニケーションシグナル物質を同定し、そのシグナル物質の合成、制御、作用機構を明らかにすることを目的としている。2022年度は、主に「細胞間コミュニケーションシグナル分子の構造および特性の解明」および「シグナルの受容・伝達経路の解明」を目指して研究を実施した。シグナル分子の活性は、Chloroflexus aggregansの滑走運動による細胞凝集形成速度を測定し評価した。 シグナル分子の同定・構造解析のため、抽出・精製条件を以下の通り決定した。培養液から遠心分離およびろ過により細胞外画分を回収した。酸沈殿により夾雑物を除去したのち、分画分子量の異なる限外ろ過膜を用いて段階的に分画し、分画分子量1kDa以下の画分からシグナル分子を回収した。強陽イオン交換クロマトグラフィー、次いでゲルろ過クロマトグラフィーに供し、活性画分を得た。得られた化合物について、質量分析、元素分析、UV-VIS吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル解析を実施し、その化学構造を推定できた。本物質はこれまでに微生物で知られているシグナル物質とは異なる新規の化合物であることがわかった。 シグナルの受容・伝達経路の解明のため、精製品の添加による遺伝子転写変化を解析した。Chloroflexus aggregansの細胞懸濁液に精製品を添加し10分後の細胞からRNAを抽出し、RNA Seq解析を実施した。ゲノムからは化学走性に関わることが示唆される遺伝子も見つかっていたが、それらの遺伝子転写量に顕著な変化はなく、滑走運動の制御は既知機構とは異なると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、主に「細胞間コミュニケーションシグナル分子の構造および特性の解明」および「シグナルの受容・伝達経路の解明」を目指して研究を実施した。シグナル分子を精製し、質量等の基礎的構造情報を得ることができ、またシグナル分子の有無による遺伝子転写量の情報を収集することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
「シグナル分子の同定・構造解析」を完了させ、「シグナル分子の合成・分泌機構の解明」を進めるとともに、「シグナルの受容・伝達経路の解明」を目指し、以下の戦略で研究を推進する。 シグナル分子について、これまでに集積した知見に加えNMR等による解析から、その化学構造を決定する。シグナル分子を人工合成・修飾し、その作用構造を探る。さらに、シグナル分子の化学構造からその合成経路および合成関連酵素・遺伝子を推定する。また、シグナル分子の検出・定量系を確立し、細胞密度や細胞溶菌酵素に応答した分泌条件を明らかにするとともに、それらに応答した遺伝子転写変化から、シグナル分子の合成および細胞外への分泌に関わる遺伝子を同定していく。 シグナル分子に応答した転写プロファイルの経時的変化をRNA-Seq法により解析し、シグナル分子の受容から運動性の変化に至る一連の機構を推定するとともに、これらの機構について生化学的に探る。また、転写解析から運動性以外の表現型変化を推測し、実験的に検証する。さらに、これらの変化をもたらす転写因子候補を探り出し、転写制御システムを同定していく。 全体の成果を統合し、細胞外シグナル分子を介した本菌の細胞間コミュニケーション、環境応答からシグナル生産そして表現型の変化に至るメカニズムの全容を明らかにする。さらにゲノムデータベースをもとに、細胞間コミュニケーションシステムの好熱菌における一般性、進化過程に関する知見をまとめる。
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