研究課題/領域番号 |
21K06341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
池上 真木彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (60791366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 外来種 / 土地利用データ / 気象データ / 群集解析 / 種分布モデル / ニッチ分析 / 景観分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「外来種が生息する場所」の推定を通じて、国内未定着の外来種が生息する可能性が高い地域を高解像度にて予測する技術の開発を目指す。まず国内未定着種が所属する可能性が高い群集を、生息環境情報や国外の分布から推定する。そして国内でその群集が利用する環境を土地利用や植生データから解析し、群集が利用する生息環境の分布地図を作成する。これに気候に基づく未定着種の分布範囲の予測を組み合わせ、高解像度の未定着種国内分布予測を行う。 本研究は生物分布の規定要因の解明を通じて種分布推定の高度化を図るため、在来種にも応用することで希少種の保全や多様性評価にも利用可能な手法となることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、気候や土地利用に着目し外来種が侵入定着する可能性が高い地域を高解像度で予測する技術の開発を目指し、外来種の分布パターンを種分布モデルをはじめとした様々な統計手法による解析を行っている。本研究は解析対象を外来アリに絞り、昨年度までは先行研究で用いられた外来アリの分布データを用いて解析を進めてきた。しかし、そのデータセットは分布データ取得年代が不明なため、データ取得時の土地利用状況と最新の土地利用データとの間に齟齬が生じる可能性が高く、また在来アリのデータはデータベースに含まれておらず、外来アリと在来アリとの比較が不可能だった。 これを解決するため、2022年度では在来・外来を問わず全アリ種の分布データをGBIFから取得し、各分布地点の妥当性と外来・在来分布ステータスを多くのデータベースを通じて判別し、解析に使用出来るよう整備した。本年度はこの新たなデータセットを使用し、初年度に行う予定だった土地利用・気象データを組み合わせた群集解析を行い、外来アリと在来アリの違いを検討した。解析結果から、気象条件では外来アリが出現しやすい環境に目立った傾向は見られなかった。しかし、土地利用の観点からは、外来アリの多くが都市域、海沿い、湿生草原に集中していること、また外来アリが在来分布域で利用しているのも同様な環境であることが示唆された。 これらの成果により、従来より考えられていたように外来種の多くは在来種に比べてかく乱環境、人為的な環境に多く出現することを、外来アリでも確認することができた。さらに、外来アリが本来の分布域でも同じような環境を利用しており、同じ環境に生息する在来アリが競争関係から影響を受けやすい一方、将来的な外来種となる可能性を示しており、今後外来種が在来種に与える影響評価の指針ならびに新たな外来種の出現予測に本成果が利用できることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
群集解析は本来初年度に行う予定であったが、在来種データの整備に手間取り本年度行うこととなった。しかしながら昨年度先行して行った種分布モデルの結果を裏付けるとなる、外来アリが利用している土地利用の傾向が在来種との比較でより明確に示され、今後外来種の分布規定要因として利用可能なことが判明したため、全体として順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の在来種との比較を通じて得られた成果から、外来種の出現や分布を規定する環境要因として土地利用が重要であることが確認された。本年度は在来・外来アリ各種の土地利用と気象ニッチから、アリ各種の利用景観スコアを計算し、国内に定着する可能性が高いアリ種とその定着地域の推定を種分布モデルと階層ベイズを用いて進める予定である。
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