研究課題/領域番号 |
21K06350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
天野 雅男 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (50270905)
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研究分担者 |
西田 伸 宮崎大学, 教育学部, 教授 (40423561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 社会生態 / マッコウクジラ / 社会構造 / 血縁度 / ハクジラ類 |
研究開始時の研究の概要 |
オスのマッコウクジラは、成熟前に出自群を離れて、同じような大きさのオス同士で群れを作り、メスの群れが分布する海域から離れた高緯度海域に生息するようになる。このような繁殖に関係しないオスの群れは哺乳類の中でもほとんど例がなく、群れがどのような個体からなり、どのような目的で形成されるのかはわかっていない。同様のオスだけの群れを作るアフリカゾウでは、未成熟個体が高齢オスに追従することで、高齢オスから経験を学習していることが示唆されている。同様のことがマッコウクジラのオスでもあるのか、それとも血縁などの別の要因により群れが作られているのかを、社会分析と血縁分析から明らかにする。
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研究成果の概要 |
マッコウクジラのオスは、哺乳類では非常に稀な直接繁殖に関わらない個体間関係を築く。この理由として、将来の繁殖成功のために血縁個体で協力する可能性と、高齢個体からの学習機会を得る可能性が考えられる。これらを長崎県の五島海底谷に来遊する若いオスのマッコウクジラの識別個体の社会的関係、個体間距離と体長および血縁度の関係から検討した。社会的関係と個体間距離に血縁度、体長の差は関係しておらず、いずれの可能性も否定された。しかし識別個体には、特に隔度中心性や固有ベクトル中心性の高い大型個体が存在することが明らかとなり、これらの個体が採餌域の選択など情報伝達に重要な役割を果たしている可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マッコウクジラについては、最近の研究でコミュニケーション音に集団の帰属を表す文化的な要素があることや、音楽のようにテンポや要素を変えて情報を伝えていることなど、高度な社会性を示すことがわかってきている。このような知見は全て母系の群れを形成するメスでの事例であり、メスの群れから離れて暮らすオスの社会については非常に知見が少ない。オスにも社会性があるにも関わらず、それがメスのように血縁や高齢個体の知識利用と直接的に結びついていないことを明らかにした本研究は、マッコウクジラという種の社会の理解のみならず、哺乳類の社会や文化の進化を理解する上でも非常に重要なものである。
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