研究課題/領域番号 |
21K06440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
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研究分担者 |
眞部 寛之 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80511386)
塩谷 和基 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90907015)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 神経科学 / 嗅結節 / ホメオスタシス / 摂食行動 / ドーパミン受容体 / オレキシン / オピオイド / 摂食関連ホルモン / 内分泌 / 嗅覚 |
研究開始時の研究の概要 |
どんなにおいしそうな匂いでも、お腹がいっぱいになると不快に感じることがある。空腹・満腹に応じて嗅覚の情動体験は変化するが、その神経メカニズムはよくわかっていない。近年の研究で、ドーパミン神経系の一部である嗅結節(olfactory tubercle)には機能ドメインが存在し、特定のドメインが匂いの誘引性および忌避性の形成に関わることが示唆された。本研究では① 嗅結節機能ドメインが摂食行動の制御に関わるか、② 機能ドメインの食べ物の匂いへの応答性が空腹-満腹間でホメオスタティックに調整を受けるか、③ 受けるとしたらどのような分子メカニズムによるかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では嗅結節のホメオスタティックな働きが摂食行動に与える影響を探査した。マウス嗅結節ではオレキシン受容体遺伝子Hcrtr2がIslands of Calleja、ドーパミン受容体D1ニューロンならびにD2ニューロンに発現した。ラット嗅結節前内側ドメインにオレキシンペプチドを局所注入すると、味覚反応試験において砂糖水呈示時に'Like'反応(飲水様行動)が強化された。マウス嗅結節前内側ドメインには、オピオイド前駆体遺伝子PdynならびにPenkを共発現するD1ニューロンが高頻度に出現した。これらの研究成果は空腹時に食べ物の匂い・風味がよりおいしく感じる神経メカニズムに新たな知見をもたらす。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、嗅結節が摂食行動の制御において重要な役割を果たすことを示し、その神経メカニズムの理解を深めるものである。摂食関連ホルモンとして知られるオレキシンペプチドの嗅結節における作用点や役割を解明し、さらに嗅結節オピオイド前駆体遺伝子の発現様式から、嗅結節前内側ドメインが体内のホルモン変動によるホメオスタティックな制御を受けて摂食行動を制御する機能をもつことが示された。これらの知見は、拒食症や肥満などの病的な食行動の予防や治療への新たなアプローチをもたらすと期待される。
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