研究課題/領域番号 |
21K06456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安藤 眞 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (00622599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 配位子 / 炭素 / 遷移金属触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は有機化学反応を円滑に進めるために有用な触媒、中でも金属を含んだ金属触媒の開発を目指します。溶液に溶けて機能する金属触媒を開発する際には金属に様々な機能を付与する配位子という存在が重要で、この研究ではこの配位子として奇妙で魅力的な性質を持つ有機化合物を用います。NHOと呼ばれるこの化合物は触媒への応用例がほとんど無く、世界に先駆けて広く有用なNHO含有金属触媒の開発を検討します。
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研究実績の概要 |
本研究では申請者が独自に設計したビシクロ骨格を含有したNHOを合成し、これまでに開発例のない2-メチレンイミダゾリジン型配位子の開発と遷移金属触媒への応用を試みる。 本年度は、昨年度までに合成した独自に設計したNHO配位子の窒素上の置換基に多様性をもたせた配位子ライブラリーを構築し、それらを用いたPd錯体を種々合成し、触媒として活用することを目指して検討を行った。昨年合成に成功した[(NHO)PdCl2]2、cis-[(NHO)2PdCl2]、trans-[(NHO)2PdCl2]の三種の錯体を、種々の反応に触媒として用いてその機能を評価した。種々の検討を行った結果、[(NHO)PdCl2]2及びcis-[(NHO)2PdCl2]はブロモアレーンと芳香族ボロン酸とのSuzukiカップリングに対して中程度の触媒活性を示すことが分かった。更に溶媒や塩基などの反応条件を最適化する検討を行った結果、[(NHO)PdCl2]2に対して有機リン系配位子を補助配位子として用いることで触媒活性が大きく向上することを見出した。NHOの窒素上置換基も反応性に影響することがわかり、種々置換基の異なる配位子群を評価して最適なNHOを決定した。更に[(NHO)PdCl2]2と最適な有機リン系配位子を反応させるとcis-[(NHO)(Ar3P)PdCl2]錯体が得られ、結晶構造解析によって構造を確認するとともに本錯体が高い触媒活性を示すことも分かり、NHO-Pd錯体としては初めての安定な触媒前駆体の開発に成功した。得られた触媒を種々の反応基質を用いたカップリング反応に用いた検討を行い、立体障害の大きな嵩高い基質を含む比較的幅広い反応基質に対して高活性を示すことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は前年度合成に成功した錯体が触媒活性を示す反応を見出し、NHO-Pd錯体が触媒として活用できることを見出すことが出来た。種々の検討を通して、高活性を示す触媒として活用できるNHOと有機リン系配位子を併せ持つPd錯体の合成と構造解析にも成功した。本検討によりNHO-Pd錯体を初めて触媒として機能させる方法を見出したことから、概ね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は既存の有用反応に対して触媒活性を有する錯体を見出したので、これらの知見をもとに電子豊富なNHOの性質が生きる新規反応を見出すことを目指す。また、不斉配位子やその金属錯体の合成も行い、立体選択的反応への応用も試みる。また、本年度までに見出したPdやRh以外の金属に対しても配位子として適用し、錯体が得られた場合には構造解析を試みるとともに触媒へ適用することを試みる。
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