研究課題/領域番号 |
21K06518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
関根 嘉香 東海大学, 理学部, 教授 (50328100)
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研究分担者 |
平林 健一 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60514388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 皮膚ガス / がん / 体臭 / 診断 / 非侵襲 / におい / ニューラルネットワーク / 生体ガス |
研究開始時の研究の概要 |
がんの早期発見は生命予後の改善につながり、遠隔・在宅医療にも適用可能な早期診断法の開発が望まれている。そこで、非侵襲的な生体試料として皮膚から放散される微量生体ガス(皮膚ガス)に着目した。イヌや線虫ががん患者のにおいに反応することが知られており、がんの発症に伴いヒトの皮膚ガス組成は変化すると考えられる。本研究では、がん患者に特徴的な皮膚ガス組成を明らかにし、がんの早期診断に寄与する簡便・非侵襲的な評価方法を開発する。
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研究実績の概要 |
現在、癌は主に血液検査、画像検査、組織細胞検査により診断されている。しかしこれらの検査方法は少なからず患者への侵襲を伴い、また膵臓癌のように早期発見が困難な腫瘍も少なくないため、非侵襲的で簡便な方法による早期診断が望まれている。一方、癌患者からは特有の「におい」があることが報告されている。そこで本研究では、体臭の原因となる「皮膚ガス」に着目し、癌と診断された患者の皮膚ガスをパッシブ・フラックス・サンプラー法により捕集し、ガスクロマトグラフ-質量分析計により分離・定量して、癌患者に特徴的な皮膚ガス組成を明らかにすること、さらに癌の早期診断に寄与する簡便・非侵襲的な評価方法を開発することを目的とした。令和3年度は、膵臓癌と診断された入院患者に焦点をあて、膵臓癌患者(Stage II-IV)および健常者を対象に前腕部において測定した皮膚ガス74成分について解析し、膵臓癌患者と健常者では、いくつかの成分の放散フラックスに有意な差が見られた。そこで、令和4年度は階層型ニューラルネットワークに膵臓癌患者および健常者の皮膚ガス組成を学習させ、癌の判別可能性を検討した。癌の有無の判定に用いるダミー変数の値として、膵臓癌患者=1、健常者=0を従属変数、各皮膚ガス成分の放散フラックスを共変量として入力し、ニューラルネットワークを構築した。構築したニューラルネットワークに評価用皮膚ガス組成を入力した結果、膵臓癌患者の予測値はいずれも1となり、疑似確率99.9%で正解と判定された。また健常者の予測値はいずれも0となり、疑似確率99.9%で正解と判定された。このことから、構築したニューラルネットワークにより膵臓癌患者と健常者の判別が可能であることがわかった。また膵臓癌患者の体臭に寄与する皮膚ガス成分をOdor Quotientを用いて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は進行癌として発見されやすい膵臓癌に着目し、パッシブ・フラックス・サンプラー法による膵癌患者の皮膚ガス検体の収集および分析を重点的に行った。また皮膚ガス組成を入力値とする階層型ニューラルネットワークにより膵臓癌患者と健常者の判別可能性が示唆された。さらに嗅覚閾値が報告されている皮膚ガス52成分についてodor quotientを求め、体臭に寄与する成分を同定した結果、膵臓癌患者の体臭には主としてエチルメルカプタン、オクタナール、アセトアルデヒドなど18成分が寄与し、健常被験者の体臭に寄与の大きいイソ吉草酸アルデヒド、酢酸、ジェオスミンなどの寄与は相対的に低いことを明らかにした。このことは、癌患者の体臭が官能的に異なることを支持するものであり、体臭の原因となる皮膚ガス組成は膵臓癌の評価に有用な生体情報であることを示唆するものである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、東海大学医学部付属病院等において癌患者を募集し、パッシブ・フラックス・サンプラー法により皮膚ガスの捕集・分析を行い、症例数を蓄積する。がんの種別ごとに概ね20症例集まった段階で健常者との比較を行い、多変量解析(因子分析、判別分析)や階層型ニューラルネットワークなどにより解析し、癌の早期診断に有用なメソッドを開発する。令和5年度は最終年度となるため、これまでの検討結果を基に国際学会での発表および論文発表に努める。
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