研究課題/領域番号 |
21K06572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 国立水俣病総合研究センター |
研究代表者 |
鵜木 隆光 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 主任研究員 (00742868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | メチル水銀 / サルフェン硫黄 / レドックスホメオスタシス / 活性イオウ分子 |
研究開始時の研究の概要 |
メチル水銀 (MeHg) 曝露による神経系への毒性機序の探究において生体のレドックス(酸化還元)変動は不可欠の概念である。本研究はタンパク質のレドックス制御におけるサルフェン硫黄の役割とMeHg曝露によるその変動に着目し、MeHgによる毒性および防御機序の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
メチル水銀(MeHg)による神経系への毒性機序の探究において生体のレドックス(酸化還元)変動は不可欠の概念である。我々は高い求核性を有する活性イオウ分子(Reactivesulfurspecies,RSS)を介したレドックス恒常性維持機構を明らかとしてきた。RSS中のサルフェン硫黄はタンパク質のシステイン残基にも易転移し当該部位をポリイオウ化することから、多彩な機能制御を行うことが推察される。そこで本研究はポリイオウ化を介したタンパク質の機能制御に焦点を当て、神経細胞における特異的分子のポリイオウ化被修飾状態の変動がもたらす機能変化をシグナル毒性と細胞機能と紐づける試みにより、MeHg毒性機序解明の新たな研究戦略開拓に挑む。 昨年度に実験系を最適化したプルダウンアッセイ系を用い、タンパク質のポリイオウ化を解析した。ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞抽出液のポリスルフィドモデル化合物(Na2S3)処理により増加するタンパク質のポリイオウ化はMeHgの添加により減少したことから、RSSからタンパク質のチオール基へと転移したサルフェン硫黄がMeHgにより奪取されることが示唆された。培地にNa2S3またはMeHgを添加して曝露を行ったSH-SY5Y細胞を用いて同様の解析を行った。その結果、細胞内ポリイオウ化タンパク質の蛍光染色強度はNa2S3曝露により増加した一方、MeHg曝露による明確な減少は認められなかった。しかしポリイオウ化修飾が報告されているGAPDHを特異的に検出したところ、MeHg曝露細胞についてそのポリイオウ化の減少が確認されたことから、MeHgによりサルフェン硫黄を奪取されるポリイオウ化タンパク質には特異性が存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に則り解析系の至適条件検討から始め、研究実績の概要欄に記載したように作業仮説を支持する知見を得たことから、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に則り、脳中ポリイオウ化タンパク質の同定とメチル水銀曝露による当該修飾の変動とタンパク質機能への影響について解析する。
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