研究課題/領域番号 |
21K06680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
清水 かほり 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (50737749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 糖尿病 / 遺伝子治療 / リゾリン脂質アシル転移酵素 / アデノウイルスベクター / リゾリン脂質 / リン脂質 / 肝臓 / インスリン分泌 / 生活習慣病 / インスリン / 代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
リゾリン脂質は、インスリン抵抗性を惹起する脂質として注目されているが、リゾリン脂質を標的とした薬物療法は開発されていない。研究代表者は、脂質代謝の中心臓器「肝臓」においてリゾリン脂質量を制御できれば、糖尿病治療につながると考えた。研究代表者らはこれまでに、安全性が高く、長期間遺伝子発現を示すアデノウイルス(Ad)ベクターの開発に成功している。本研究では、リゾリン脂質の発現を制御する遺伝子を、研究代表者らが開発した改良型Adベクターに搭載し、糖尿病の遺伝子治療を試みる。リゾリン脂質を標的とした糖尿病の遺伝子治療は行われていないため、本研究は糖尿病の克服に向けて有用な情報を与えるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、リン脂質の多様性に寄与する酵素のうち、肝臓での発現量が低く、機能が十分に解明されていない「lysophospholipid acyltransferase 10 (LPLAT10、別名LPCAT4、LPEAT2)」に注目した。そして、LPLAT10をマウスの肝臓において高発現させ、糖尿病に対する治療効果を検証した。 LPLAT10を肝臓において高発現させるベクターとして、研究代表者らが以前に開発した肝障害性が低く、長期に渡って目的遺伝子を発現可能な改良型アデノウイルス(adenovirus; Ad)ベクターを選択し、LPLAT10を搭載したAdベクター(Ad-LPLAT10)を作製した。耐糖能について検討するため糖負荷試験を行ったところ、Ad-LPLAT10群では糖負荷後のインスリン分泌量が増加し、血糖値の上昇が抑制された。このメカニズムについて検討するため、Ad-LPLAT10を投与後のマウスの血清を用いてマウスインスリノーマ細胞株を培養し、グルコース刺激下におけるインスリン分泌量を測定したところ、コントロール群よりもインスリン分泌量が増加した。Ad-LPLAT10投与後のマウスの肝臓におけるリン脂質およびリゾリン脂質を解析したところ、ドコサヘキサエン酸を有するリン脂質が増加していた。そこで、ドコサヘキサエン酸をマウスインスリノーマ細胞株に作用させたところ、高濃度グルコース刺激下においてインスリン分泌量が増加した。したがって、LPLAT10の肝臓における高発現は、肝臓内のリン脂質の脂肪酸組成の変化を介して、グルコース依存性インスリン分泌を促進することが示された。 本研究成果より、LPLAT10は、食後のインスリン分泌を増加させることで食後高血糖を抑制するため、糖尿病に対する新しい治療標的となる可能性が見出された。
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