研究課題/領域番号 |
21K06681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
金城 俊彦 摂南大学, 薬学部, 助教 (70758599)
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研究分担者 |
倉本 展行 摂南大学, 薬学部, 教授 (60324092)
宇野 恭介 摂南大学, 薬学部, 講師 (30608774)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | apelin/APJ system / 翻訳後修飾 / 運動神経細胞死 / ALS / viral delivery / motoneuron subtype |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症は、不可逆的に進行する運動神経変性疾患であり、興奮毒性の関与が示唆されている。Apelinはペプチド性シグナル伝達物質であり、GPCRであるAPJに結合することで抑制性のシグナル伝達だけでなく、PI3Kの活性化や、栄養因子様のシグナル伝達を示す。本研究では、運動神経サブタイプ別に遺伝子発現解析を行い、APJやGPCR依存性カリウムチャネルなどの抑制性シグナルに関する遺伝子発現変化を明らかにする。すなわち、抑制性GPCRが細胞内カリウム濃度を下げることで、神経細胞を保護する可能性に着目し、興奮毒性に対する運動神経サブタイプにおける本システムの役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度は、apelinとその受容体であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)のAPJ受容体シグナル解析を運動神経細胞株などを用いて進めた。 その研究で、APJのシグナルがin vitroとin vivoで薬理学的に同等の反応を起こさないことを発見した。この原因について解析をすすめたところ、受容体に対する翻訳後修飾がかかわっている可能性があることがわかった。 本受容体は、翻訳後修飾の一つであるグリコシル化を受けることがすでに報告されており、グリコシル化を抑制するツニカマイシンを用いてシグナルを検討した結果、細胞に遺伝子導入した受容体の安定性が低下することが明らかになった。加えて、さらなる翻訳後修飾が加わることで受容体の機能発現および安定性に影響を与えることをみいだした。翻訳後修飾の種類の詳細については現在解析を行っているところであるが、本研究成果は薬物治療標的とするうえで非常に大きな発見であり、さらなるメカニズムを検討する必要がある。この経緯について論文を投稿し、現在査読を受けている。この結果から、運動神経細胞の生存にはGPCRのような受容体に対する翻訳後修飾による調節の関与を含めて解析を行っているところである。 また、運動神経細胞株NSC34細胞を用いて細胞シグナルを検討するなかで、偶然にもアミノ酸トランスポーターの抑制が細胞死ではなく増殖抑制作用を示すことを発見し、こちらについても現在その詳細な機構を解析し、運動神経細胞死を引き起こす因子について解析を行っている。この研究の経過報告を学会発表にて1件行った。 さらに、運動神経細胞死に関与する可能性がある遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに組み込みウイルスを作製しマウスに播種実験を行い解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ下でマウスの繁殖をうまくコントロールできず、動物による解析を進めることができなかったことに起因する。しかし、細胞を用いたシグナル解析では受容体のシグナル解析について進展があったこととAAVベクターの作製および播種実験には進捗があったため最終年度に遺伝子改変マウスの解析が行えることから全体的には計画よりも若干遅れている程度である。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験の目途が立ったので当該年度に行うことができていなかった解析を改めて行う。 遺伝子改変マウスを用いて病態進行ならびに運動神経サブタイプ別に遺伝子発現解析を行い、病態の進行にともなう運動神経細胞の遺伝子発現を次世代シーケンシングなどを用いて網羅的に解析する。また、遺伝子発現解析によって得られた結果から細胞死を抑制または促進するような因子を絞りこみ、AAVベクターを用いて病態マウス投与し、生存期間やその他行動解析を行い病態を抑制するカギとなる因子を抽出する。現在、AAVベクターに関しては、ベクターへさまざまな遺伝子の組み込みに成功しており、マウスへの播種実験を進めることができているので、遺伝子改変マウスを用いて同様に解析を行う。また、これまでの結果から得られた運動神経細胞死に関わる可能性がある受容体やシグナルについても解析を行いやや遅れている実験を挽回する。
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