研究課題/領域番号 |
21K06684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武隈 洋 北海道大学, 大学病院, 准教授 (00396293)
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研究分担者 |
佐藤 夕紀 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (00564981)
今井 俊吾 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (40845070)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リネゾリド / テジゾリド / 唾液 / TDM / 血小板減少症 / 唾液中濃度 |
研究開始時の研究の概要 |
抗MRSA薬リネゾリドでの治療が長期化すると、典型的な副作用である血小板減少症が頻発し治療を難渋化させる。副作用の回避には血中濃度(AUC)モニタリングが有用であることが報告されている。一方、同系統の薬剤であるテジゾリドについては、薬物動態に関する実臨床の情報がまだ乏しく至適血中濃度域は確立されていない。しかし、薬物動態の詳細な解析やAUCの算出には多数の採血点が必要であるため患者や医療従事者への負担が大きい。そこで本研究では、患者に侵襲性の無い唾液によるモニタリング法を確立し、一般的な母集団の血中濃度推移から乖離する患者の要因分析および投与量の最適化を図る。
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研究実績の概要 |
まずリネゾリド(LZD)およびテジゾリド(TZD)の唾液移行性をラットを用いて検討した。LZDおよびTZDの唾液中濃度/血漿中濃度比(S/P比)は、LZDで0.634、TZDで0.053であった。この結果には両薬物の血漿蛋白結合率(LZD:27.3%、TZD:98.4%)の影響が考えられた。そこで、ドキソルビシン投与により低アルブミン(ALB)血漿モデルラットを作成して同様の検討をした結果、ALB濃度が約40%低下したラットでのS/P比は、LZDでは0.71に、TZDでは0.12に上昇した。これらの結果から両薬物の唾液移行性はALB低下による遊離型濃度を反映することが示された。 また、医療データベースを用いてLZD誘発性血小板減少症(LIT)のリスク因子を探索した結果、長期投与、体重45kg未満、eGFR 30 mL/min/1.73m2以下がリスク因子として抽出された。一方、LZD投与前の血小板数(PLT)はリスク因子として抽出されず、この点については報告ごとにばらつきがある。そこで、北海道大学病院のデータを用いて検討した結果、LIT発症群と非発症群の投与前PLTには有意な差はなかったものの、LIT発症時期に着目したところ、投与前PLTが15万未満の患者割合が投与後5日以内の早期発症患者で43.8%だったのに対し、それ以降に発症した患者では22.5%と低かった。これらが報告によって結果が異なる要因であると考えられた。 さらに、本研究でLZD施用患者から血漿と唾液を経時的に同時点採取した症例は17例集積できたが、TZD施用患者は1名にとどまった。静脈内投与患者ではS/P比は1.01であり、血漿中と唾液中濃度の相関係数は0.83であったことから、唾液中濃度を血漿中濃度の代わりに用いる可能性は十分に示された。また、TZDは1例のみではあるが、S/P比は0.33と低いものの採血時間によらずほぼ一定であり、唾液中濃度モニタリングの可能性が示された。
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