研究課題/領域番号 |
21K06701
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
渡邊 政博 就実大学, 薬学部, 准教授 (10758246)
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研究分担者 |
豊村 隆男 就実大学, 薬学部, 准教授 (40425137)
森 秀治 就実大学, 薬学部, 教授 (50220009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | DAMPs / LPS / 炎症 / 相互作用 / ダメージ関連分子パターン |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの検討により,我々が見出した終末糖化産物(AGEs)と結合する新規分子(AGE-BP)は,AGEsと同様に生体内で炎症を引き起こすダメージ関連分子パターン(DAMPs)と類似した挙動を示すことが明らかになった.さらに,AGE-BPは,DAMPsが炎症を誘導する作用を抑制することが示唆された.これらの知見は,AGE-BPは,DAMPsの作用を制御する炎症抑制性DAMPsである可能性を示していると考えた.そこで本研究では,AGE-BP が新たな概念である炎症抑制性DAMPs であることを実証し,炎症により生じる疾患における既知のDAMPs やAGEs との関係を解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
内在性起炎分子である終末糖化産物(AGEs)とダメージ関連分子パターン(DAMPs)は,慢性炎症や,感染症に伴う炎症の増悪化などの要因として注目されている.過去に我々が見出した新規AGEs結合分子AGE-BPは,DAMPsに特有の挙動を示す一方で,既知のDAMPsによる炎症反応を抑制する作用をもつことが示された.この知見は,AGE-BPがDAMPsと対となって炎症反応を制御する新規分子:炎症抑制性DAMPsである可能性を示唆していると考えられた.そこで本研究では,AGE-BPが炎症抑制性DAMPsとして機能するメカニズムと,炎症病態下における既知のDAMPsやAGEsとの関係の解明を目指す. 本年度は,AGE-BPが属するファミリー分子のリコンビナント体を調製し,AGE-BPとの作用の比較を試みた.解析が可能であった1つ目のAGE-BPファミリー分子(AGE-BP2)は,AGE-BPと同様に,LPSとDAMPsによって生じる炎症反応を抑制することが示された.一方で,別のファミリー分子(AGE-BP3)は,抑制作用をもたないことが示された.これらの結果から,炎症抑制性DAMPsとしてのAGE-BPの作用は,ファミリー分子に共通する特性ではないことが示唆された.さらに,解析に供した3種類の分子のアミノ酸配列を比較したところ,AGE-BPとAGE-BP2に共通する特性をAGE-BP3は有していないことが明らかとなった.AGE-BPとAGE-BP2に共通する特性を過去の知見と比較することにより,AGE-BPによる炎症抑制作用のメカニズムを推定することに成功した.また,AGE-BPによる炎症抑制作用は,AGEsの共存によって阻害されることを見出した.また,前年度作製したLPS投与による敗血症病態マウスモデルを改善するための検討に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昆虫細胞発現系を用いてAGE-BPファミリー分子を調製し,AGE-BPとの作用の差異を検討することによりAGE-BPの作用メカニズムを推定することに成功した.さらに,AGEsの共存がAGE-BPの作用を阻害する可能性を見出した.また,生体を用いた検討を実施するためには,大量のAGE-BP精製品が必要となることから,大量調製が可能となるタグ配列を付加したリコンビナントAGE-BPからタグ配列を除去するための手法の確立を進めている.さらに,より生理的な条件に近いかたちの炎症性疾患モデル動物の構築を試みている.また,抗AGE-BP抗体を産生するハイブリドーマから高度に精製されたモノクローナル抗体を調製する手法を確立し,細胞レベル・生体レベルでの検討に必要な量の抗体の準備を進めている.これらのことから,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度,AGE-BPファミリー分子についてはリコンビナント体の調製と解析を行うことができた.一方で,これまで解析に用いてきたもの以外のDAMPsについてはリコンビナント体の調製を行えていないため,これに着手し,起炎作用やAGE-BP共存による影響の検討を進める.また,モノクローナル抗体については高度精製品のストックを進め,細胞系においてAGE-BPを阻害する作用の有無について検討する.また,炎症性疾患モデルについては,新たに構築したモデルにおいて血中AGE-BPとDAMPsの動態を検討し,AGE-BPリコンビナント体の投与の効果を検討する.
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