研究課題/領域番号 |
21K06708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊地 正史 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (90420025)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がんクリニカルシーケンス / 分子標的抗がん薬 / PK/PD / Modeling & Simulation / 個別化医療 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がんクリニカルシーケンス検査に基づき「最適な薬剤」の選択が実践されているが、遺伝子変異に適合した薬剤はほとんどが適応外となるばかりか、小児などのスペシャルポピュレーションが対象となることも多い。そのため、Pharmacokinetics(PK)/Pharmacodynamics(PD)の関連性は明らかになっておらず、「最適な用法・用量」は定まっていない。 そこで今回、分子標的抗がん薬の「有効血中濃度域」をがん種や遺伝子変異毎に精査し、Modeling & Simulationにより患者背景に基づく「最適な用法・用量」を解明することで、さらなる個別化薬物療法を確立する。
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研究実績の概要 |
治療標的遺伝子の変異や患者特性に応じて多様ながん薬物療法が実施されるため、各抗がん薬の血中濃度を効率的に測定するには、複数の抗がん薬を同一の方法で簡便かつ迅速に分析可能な定量法が有用となる。レンバチニブをはじめ、経口分子標的抗がん薬は在宅で服用することが多く、最適なタイミングで採血し、治療薬物モニタリングを実施することが難しい。そこで、全血23 μLから遠心分離操作によって血漿5.6 μLを容易に分取可能なマイクロサンプリングデバイスMicrosampling Wing (MSW) を用いたヒト血漿中レンバチニブ濃度定量法の開発した。肝細胞がん患者から得られた静脈血を用いて、MSW法と従来法(plasma法)による血漿中レンバチニブ濃度を比較した結果、同程度の定量精度を持つことが示されたことから、在宅患者におけるレンバチニブの治療薬物モニタリングに適用可能であると考えられた。 また、破壊性甲状腺炎を発現した肝細胞がんの2例について、血中レンバチニブ濃度との関連性を検討した。2例の血中レンバチニブ濃度は有効血中濃度域を大きく超えており、甲状腺機能亢進症との関連性が示唆された。そのため、レンバチニブの治療薬物モニタリングは、破壊性甲状腺炎のリスク最小化に貢献する可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子標的抗がん薬の簡便かつ迅速な血中濃度一斉測定法の構築とPharmacokinetics(PK)解析は、計画通りに進行している。2023年度は、NONMEM(ICON public limited company)を用いたM&Sを重点的に進捗させる。
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今後の研究の推進方策 |
がん種や遺伝子変異毎に抗腫瘍効果や有害事象と相関する分子標的抗がん薬のPKパラメータを精査し、「有効血中濃度域」を解明する。また、NONMEM(ICON public limited company)を用いたM&Sで、小児などのスペシャルポピュレーションも含めて、患者背景に基づく分子標的抗がん薬の「最適な用法・用量」を解明する。
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