研究課題/領域番号 |
21K06754
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上坂 敏弘 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (90304451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シュワン細胞 / 腸管ニューロン / 腸管神経系 / ニューロン新生 / 腸管グリア細胞 / 神経系の再生 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管神経系組織を維持するために、腸管に投射する外来神経線維上に存在する潜在的にニューロン産生能を有するシュワン細胞の特性を理解し、腸管神経系の再構築を促すことを大きな目標としている。まず腸間膜の神経線維上に存在するシュワン細胞を遺伝学的に標識し、刺激条件により腸に移動した細胞の遺伝子発現プロフィリングを行い、移動しないシュワン細胞に対して特徴的な遺伝子発現の違いを同定する。そして神経線維上のシュワン細胞を薬理的な刺激と遺伝子導入による潜在的なニューロン産生能を誘導する条件を明らかにし、腸管への移動、ニューロン産生、そして腸管機能の回復に活用出来るか検証する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究から、腸管に投射する外来神経線維上に存在するシュワン細胞の一部は潜在的神経分化能を有して静的状態で留まっていることが予想される。本研究は、潜在的な腸管ニューロンの産生能力を有するシュワン細胞の細胞特性を明らかにし、その潜在的な腸管ニューロンの産生能力を高めることで、腸管神経系の再生、機能回復が可能であることを検証し、腸管神経系の新たな再生方法の基盤を築くことを目指す。 2020年度は、引き続き腸管ニューロン産生能を有するシュワン細胞の細胞特性を明らかにするために、遺伝学的にシュワン細胞系譜の細胞を標識し、生後成体になるまでの間に、ニューロンの消失や腸内環境の変化に応じてニューロンを産生する細胞ソースとなる細胞の局在を探った。そして遺伝子発現解析などに必要な細胞数を確保するための検証を進めている。 大腸に投射する外来神経線維上の中で、骨盤神経叢から直腸・結腸に投射している神経線維のシュワン細胞は、生後1カ月齢になっても細胞増殖をしている細胞が複数認められた。骨盤神経叢から伸びる神経線維から派生するニューロン新生は、直腸、結腸だけでなく、他の投射先である泌尿生殖器官においても生後ニューロンクラスターが形成されることが知られているが、これらのニューロン産生にもシュワン細胞系譜の細胞が寄与していることを見出した。他の神経線維上のシュワン細胞と比較することで、細胞特性に特徴を持った細胞が骨盤神経叢及びその周辺に存在すると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腸管に投射する外来神経線維上のシュワン細胞から、腸内環境変化やニューロンの薬剤除去に応じて、腸管に移動してくる細胞数は、これまでの条件下では、細胞特性解析に用いる量を満たしてはいない。一方で、一ヶ月齢のマウス腸管膜の外来神経線維上において細胞増殖の有無を検証したところ、骨盤神経叢から投射してくる神経線維上においてのみ多くの増殖能を示したシュワン細胞が検出された。これらシュワン細胞と他の神経線維上のシュワン細胞とを比較することでニューロン産生能を有する細胞の特性がとらえられるのではと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
生後、骨盤神経節から出る神経線維上や標的組織近くにシュワン細胞系譜からのニューロン新生が確認できたので、骨盤神経叢周辺のシュワン細胞と他の神経線維上のシュワン細胞を比較することで、細胞特性の違い、そしてニューロン産生能を活性化するメカニズムに関わる遺伝子を探索することを計画している。
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