研究課題/領域番号 |
21K06794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森口 茂樹 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (70374949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / AD病態発症機序の解明 / ATP感受性カリウムチャネル / 攻撃性行動 / 周辺症状 / 新規MOA / KATPチャネル / 行動障害 |
研究開始時の研究の概要 |
AD患者の特徴として、発症初期には中核症状(認知機能障害)ならびに発症後期には周辺症状(うつ症状・不安症状・攻撃性症状などの精神機能障害)の出現が報告されている。本プロジェクトでは、AD周辺症状の病態発症機序の解明を目指し、ADモデルマウス(APP-KIマウス)ならびにKATP(Kir6.1/Kir6.2)チャネル欠損マウスを用いて、1) APP-KIマウスにおける攻撃性症状の亢進、2) Kir6.1/Kir6.2チャネル欠損マウスにおける攻撃性症状の亢進、3) Kir6.1チャネル欠損マウスにおけるうつ症状の亢進、の各課題を克服し、AD新規治療戦略の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本プロジェクトでは、アルツハイマー病(AD)周辺症状を標的とした新規MOA(mode of action)による治療法確立に向けたAD病態発症機序の解明を目指す。AD患者の特徴として、発症初期には中核症状(認知機能障害)ならびに発症後期には周辺症状(うつ症状・不安症状・攻撃性症状などの精神機能障害)の出現が報告されている。研究代表者は、AD既存薬であるmemantineの新規作用機序としてATP感受性カリウム(KATP)チャネル抑制作用(Kir6.2チャネル抑制作用:認知機能改善効果(Moriguchi S et al., Mol. Psychiatry 2018)、Kir6.1チャネル抑制作用:うつ症状改善効果(Moriguchi S et al., Neuroscience 2020))を報告した。本年度は、AD周辺症状の病態発症機序の解明を目指し、下記の2課題について解析した。課題1:ADモデルマウス(APP-KIマウス)における攻撃性症状の亢進について解析し、APP-KIマウスでは対称群(野生型)と比較して、有意な攻撃性行動の亢進が惹起されていることを明らかにした。さらに、大脳皮質におけるセロトニン神経系に着目し、モノアミン神経系の関与についてマイクロダイアリシス法を用いて解析した。課題2:KATP(Kir6.2)チャネル欠損マウスにおける攻撃性症状の亢進について解析し、Kir6.2チャネル欠損マウスでは対称群(野生型)と比較して、有意な攻撃性行動の亢進が惹起されていることを明らかにした。APP-KIマウスの大脳皮質では、Kir6.2の発現量の低下が報告されており、次年度は、Kir6.2の発現量の低下と認知症における攻撃性症状の亢進の関連性について解明予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトでは、認知症の周辺症状の一つである攻撃性行動の亢進に関して、APP-KIマウス大脳皮質のセロトニン神経系の関与を明らかにした。一方、研究代表者は、APP-KIマウスにおいて、KATP(Kir6.1/Kir6.2)チャネルの発現量の低下を明らかとし、実際、Kir6.2チャネル欠損マウスによる行動解析により、Kir6.2チャネル欠損マウスにおける攻撃性行動の亢進を同定した。現在、Kir6.2チャネル欠損マウスの大脳皮質のセロトニン神経系の異常について、マイクロダイアリシス法を用いてAPP-KIマウスと同様の表現型を確認できるかについて検証中である。上記の理由により、本プロジェクトの進捗は確認できる。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトの今後の研究方針であるが、認知症における攻撃性行動の亢進と大脳皮質におけるKATP(Kir6.1/Kir6.2)チャネルの発現量の低下との因果関係を検討することを目標としている。本年度の研究において、大脳皮質のセロトニン神経系の異常を同定できており、次年度は、細胞内のシグナル伝達経路についての同定を目指す。具体的には、1)電気生理学的手法によるシナプス伝達効率の変化に関する検証、2)免疫ブロット法によるセロトニン神経系に関連する細胞内たんぱく質の同定、3) 大脳皮質におけるKATP(Kir6.1/Kir6.2)チャネルの局在の差異、について同定を目指すことを目標としている。
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