研究課題/領域番号 |
21K06844
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
稲留 涼子 学習院大学, 理学部, EF共同研究員 (90408691)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の病理学的特徴は、脳萎縮、Amyloid-β(Aβ)による老人斑、過剰リン酸化Tauによる神経原線維変化で、なかでもAβの産生を誘発する遺伝子変異マウス(Aβマウス)は老人斑の形成機構を解明する上で有用であるが、Tauの過剰リン酸化を示さないため老人斑以降の病態を正確に反映していなかった。そこで申請者は近年のゲノムワイド関連解析よりADのリスク遺伝子候補の一つである事が示されたMITOLの欠損による「Aβ誘導性の過剰リン酸化Tauを示す、より正確にヒトのAD病態を反映した新たなモデルマウス(老化促進Aβマウス)」等を用いてミトコンドリアの機能からADの病態解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
アルツハイマー病は、記憶や思考能力が徐々に失われ、最終的に日常的な行動にも支障を来たす病気であり、現在においても、アルツハイマー病の発症メカニズムの詳細は明らかにされておらず、有効な治療戦略は確立されていない。私たちは以前、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、ミトコンドリア機能の低下により、毒性の高いAβオリゴマーが蓄積し、アルツハイマー病態が悪化することを明らかにしました(Commun Biol 2021)。今回、ミトコンドリアを活性化するMITOLに着目し、MITOLを活性化する薬剤をスクリーニングできるアッセイ系の樹立し、このアッセイ系を用いてMITOLを活性化する薬剤をスクリーニングしたところ、複数の薬剤を同定することができた。そこで、異常タウを発現したアルツハイマー病のモデル細胞に投与したところ、異常タウの凝集を劇的に抑制することを見出した。今後、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、認知症の改善の有無を解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリアを活性化するMITOLに着目し、MITOLを活性化する薬剤をスクリーニングできるアッセイ系の樹立に成功した。また、この薬剤をスクリーニングしたところ、複数の薬剤の同定することに成功した。さらに、まだ予備的な実験結果ではあるが、異常タウを発現したアルツハイマー病のモデル細胞に投与したところ、異常タウの凝集を劇的に抑制することを見出した。興味深いことに、この薬剤の作用機序は、ミトコンドリアホルミシスを介してミトコンドリアを活性化していることがわかった。今後、アルツハイマー病の治療薬開発が期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今回樹立した薬剤スクリーニング系を用いて、新たな薬剤の同定を試みる。すでに同定した薬剤については異常タウを発現したアルツハイマー病のモデル細胞を用いてミトコンドリアへの活性評価を行う。有望な薬剤についてはアルツハイマー病モデルマウスを用いて、行動解析により認知症の改善の有無を解析する。また、これらの薬剤の標的タンパク質の同定を試みる。このために、化学合成の専門家と共同研究を進めながら、創薬開発を進める。
|