研究課題/領域番号 |
21K06941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
畠山 金太 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60325735)
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研究分担者 |
雨宮 妃 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (00769854)
細田 洋司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (40359807)
泉 知里 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部門長 (70768100)
寺田 智代子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80878330)
大林 千穂 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90223940)
武田 麻衣子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40398441)
尾上 健児 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90510173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Onco-cardiology / Histopathology / Immunohistochemistry / p53 / Cancer chemotherapy / H3K27ac / p300 / HAT1 / ChIP-Seq |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん治療の進歩に伴い治療後の長期生存が可能となっている。その一方で薬物療法、特にアントラサイクリン系薬剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤使用に関連した心機能障害が問題となっており、腫瘍循環器領域(Onco-cardiology)が注目されつつある。しかし、心機能障害の機序や病態の詳細は不明であり、また発症のリスク要因も個人差が強く明らかでない。本研究では抗がん剤投与に伴う心機能障害の病理学的特徴を明らかにする。またエピジェネティックな修飾の変化や次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析・遺伝子多型の評価も行い、臨床情報も併せて解析し治療選択におけるリスク要因を検討する。
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研究実績の概要 |
がん治療関連心筋障害(CTRCD)における心筋障害の機序を解明するために種々の癌患者(食道癌、悪性リンパ腫、白血病)の解剖症例50例の心筋組織および心筋生検組織23例(癌症例13例+コントロール症例10例)のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いてp53およびH3K27Ac(ヒストン蛋白のアセチル化関連マーカー)、HAT(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)、p300、MEF2A(転写因子関連タンパク)を染色した。その結果、CTRCD発症のマルチヒットメカニズムの分子機序として、抗がん剤および危険因子(糖尿病、高血圧、肥満、腎障害、タバコなど)の蓄積によるEpigenetic変化およびp53過剰発現が関連している可能性を見出して論文として発表した(ESC Heart Failure 2022;9:3031-3043)。さらにCTRCDの発症におけるM2マクロファージの活性化と間質リモデリングの関連性をCTRCD心筋生検における免疫染色を用いて検討し、さらにiPS心筋細胞を用いてその詳細な機序について検討した。用いた検体はCTRCD心筋生検15例とコントロールDCM心筋生検14例で、用いた免疫染色用の一次抗体はCD3, CD68, CD163, Tenascin 4F10, p42, Ubiquitin、マッソントリクロム染色およびpicrosirius染色で線維化の量的および質的評価も加えた。その結果、ドキソルビシンにより心筋細胞が障害される一方、間質線維芽細胞との間でサイトカインによるクロストークが生じて、間質remodelingが生じてCTRCDの発症に関与することが予測された。この結果は現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心移植検体(レシピエント心)の使用については国立循環器病研究センターの倫理委員会による承認を取得する必要があり、、その通過に時間を要している。また人工心臓挿入時に採取される心筋組織(VAD検体)の研究利用については、国立循環器病研究センターの使用基準が厳しくなり、研究利用に制限がかかっている。 その他の部分については、非常に順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
抗がん剤投与による心機能障害(CTRCD)の形態的な観察を、さらに症例数を増やして検討する。また並行してマルチヒット仮説における分子機序の解明を行ってゆくがChipーseqを行う必要があるが、その実施に向けて準備を進めている。また計画にはない研究項目であるが、免疫チェックポイント阻害剤による心筋炎の発症機序解明についても現在予定している。Visiumおよびsingle cell 遺伝子解析による検討は、現在、国立がんセンターとの共同研究で基礎データを出しており、順調に進行している。
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