研究課題/領域番号 |
21K06957
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
|
研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
坂本 修一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主任研究員 (60346070)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 小細胞肺がん / がん転移 / 脳転移 / がん微小環境 / 異種移植マウス |
研究開始時の研究の概要 |
小細胞肺がんは肺以外への臓器に転移しやすいため、治療が難しいがんの一つである。特に脳は、小細胞肺がん患者で転移が高率に発見される臓器である。脳転移に対する治療法の開発に役立てるために、本研究では、ヒトがん細胞を移植したがん転移モデルマウスから、脳転移したがん細胞を回収するとともに、脳で増殖しやすいがん細胞の作成を行う。それらのがん細胞における遺伝子発現プロファイルを解析することで、小細胞肺がんが脳で生存し増殖するために必要な遺伝子群を探索する。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は、実験B「脳微小環境に順応した亜株の樹立とその解析」に関して、ヒト小細胞肺がんDMS273細胞を脳あるいは皮下に移植し、形成された腫瘍からがん細胞を回収して再度移植するサイクルを5回繰り返して得た、脳あるいは皮下の微小環境に順応した細胞(各二系統ずつの計四系統:前年度に作成)の解析を進めた。 in vitroにおける細胞増殖を検討したところ、4系統とも低接着性プレートにおける足場非依存性増殖能が親株と比較して亢進していた。脳および皮下での腫瘍形成能を検討したところ、脳移植サイクルで得た二系統は脳に加えて皮下における腫瘍形成能が顕著に亢進していた。また、皮下移植サイクルから得た二系統の細胞のうち一系統は、皮下だけでなく脳における腫瘍形成能も亢進していた。 これらの四系統の細胞と親株についてmRNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイル解析を行い、脳移植サイクルで得た細胞で発現上昇している遺伝子群や、皮下移植サイクルで得た脳での腫瘍増殖が亢進した細胞で発現上昇している遺伝子群を同定した。これらの中から、遺伝子機能や臨床での発現情報などにより、脳微小環境への順応に重要な因子の候補として十数個の遺伝子を選抜した。 また、実験A「自然転移モデルの脳転移巣および他臓器転移巣がん細胞の遺伝子発現比較に関しては、自然転移モデルの複数の脳転移巣および他臓器転移巣からのがん細胞の回収及びRNAの精製を完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の計画では、実験A「自然転移モデルの脳転移巣および他臓器転移巣がん細胞の遺伝子発現比較」及び実験B「脳微小環境に順応した亜株の樹立とその解析」の結果から選抜した候補因子について、モデルマウスでの脳転移形成への寄与を検証する予定であった。現状は、実験Aに関しては、サンプルの収集までは完了しており、実験Bに関しては、遺伝子発現プロファイル解析を行なって、候補遺伝子を選抜したところである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、まず四系統の細胞の遺伝子プロファイル解析から得られた十数個の候補について、脳での腫瘍増殖能が亢進した細胞にshRNAを導入してノックダウン細胞を作成し、脳における腫瘍増殖への影響を検討する。その結果、興味深い因子が見つかった場合には、その機能解析を行う。重要な遺伝子が見つからなかった場合には、自然転移モデルの複数の脳転移巣および他臓器転移巣から回収したがん細胞について遺伝子発現プロファイル解析を行い、そのデータと4系統の細胞のデータを統合して、改めて候補遺伝子を抽出し、in vivoでの評価を行う。
|