研究課題/領域番号 |
21K07008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
金子 幸弘 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90469958)
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研究分担者 |
坪内 泰志 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30442990)
槇村 浩一 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00266347)
仁木 満美子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20438229)
鈴木 仁人 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70444073)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Candida auris / 深海放線菌 / バイオフィルム形成抑制 / 凝集抑制 / 抗菌薬 / 薬剤耐性 / 真菌 |
研究開始時の研究の概要 |
Candida aurisは、近年、薬剤耐性と院内感染が深刻化している新興感染症の原因真菌である。申請者らはこれまでに、深海細菌叢を構成する放線菌(深海放線菌)により産生される物質の中から、細菌・真菌などの微生物や癌細胞に対する治療薬となりうる物質の探索に取り組んできた。その一環として、深海放線菌の培養上清ライブラリーの中から、薬剤耐性C. aurisに対して増殖抑制効果を示す培養上清を見出した。本研究では、同培養上清から、C. aurisに対し抗菌活性を有する物質を単離・精製して、その構造と作用を明らかにし、安全性・有効性を評価し、新規抗真菌薬としての可能性を明確にする。
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研究実績の概要 |
深海性放線菌由来培養上清IMAs2016D-66がCandida auris LSEM0643, LSEM3673株の凝集を抑制する活性を有することを見出した。産生菌の遺伝子解析を実施し、アクチノミセス属の菌種であることを同定した。IMAs2016D-66に凝集抑制活性があることから菌の接着性にも変化があるのではと考え実験を行った結果、IMAs2016D-66には菌体表層疎水性を低下させ、バイオフィルムの形成を抑制する活性があることが明らかになった。臨床分離株を用いた研究では、非凝集株は線虫に対する病原性が高いことが報告されていることから、病原性への影響を調べたところ、IMAs2016D-66添加によりプロテアーゼの産生が増強することが明らかになった。一方、リパーゼの酸性には変化が認められなかった。Rhodamineを用いた排出ポンプ活性の実験では、FLCZ自然耐性株であるLSEM3673株は感受性株であるLSEM0643と比較してRhodamineの排出活性が高いことがわかった。IMAs2016D-66の影響については、LSEM3673株の方にのみ添加による排出の促進が高くなる傾向が観察された。結果の一部は、論文として報告した(Yamane K, Niki M, Tsubouchi T, Watanabe T, Asai K, Oinuma KI, Sakiyama A,Saren C, Matsumoto Y, Makimura K, Kaneko Y, Kawaguchi T. A Culture Supernatant from an Actinomycete sp. Affects Biofilm Formation and Virulence Expression of Candida auris. Med Mycol J. 2023;64(1):7-17.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前回特定したC. aurisの凝集を抑制する活性を有する物質IMAs2016D-66に関して、産生菌の同定が進んだ。IMAs2016D-66には菌体表層疎水性を低下させ、バイオフィルムの形成を抑制する活性があることを明らかにした。病原性への影響として、IMAs2016D-66添加によるプロテアーゼの産生の増強を明らかにした。排出ポンプ活性への影響も評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、スクリーニングと精製を進めるとともに、作用機序解析のための研究も進める予定としている。IMAs2016D-66については、単離精製を進めるとともに、作用機序についても検討する予定である。新規物質の標的に関して、関係者との検討を実施し、活性物質産生の代謝経路・生合成経路の解明のために、活性物質産生菌のゲノム解析、遺伝子発現解析などの実施を予定としている。また、遺伝子改変により、より活性の高い物質の産生手法を開発するため、異種発現などの可能性などについても、関係者と再度検討を予定している。精製後は、精密質量分析(MS)やFT-IR分光分析、NMR(一次元、二次元)によるデータ取得を計画している。
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