研究課題/領域番号 |
21K07109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
辻内 俊文 近畿大学, 理工学部, 教授 (10254492)
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研究分担者 |
池田 裕子 近畿大学, 理工学部, 助教 (90806465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | リゾフォスファチジン酸 / LPA受容体 / 抗がん剤 / 放射線 / がん細胞 / LPA |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞の生物学的機能の調節にリゾフォスファチジン酸(LPA)受容体シグナルが深く関与することが報告されている。本研究は、がん細胞の抗がん剤・放射線感受性制御におけるLPA受容体(LPA1-LPA6)の分子機構を解明し、LPA受容体シグナルを標的とした効果的ながん薬物療法および放射線治療開発にむけた基礎的研究である。各種がん培養細胞を用いて、抗がん剤処理と放射線照射を行ったがん細胞におけるLPA受容体発現レベルと細胞機能を解析することで、標的LPA受容体シグナルを同定するとともに抗がん剤抵抗性およびDNA損傷・修復に関わる細胞内分子との相互作用を明らかにする。
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研究実績の概要 |
脂質メディエーターであるリゾフォスファチジン酸(LPA:lysophosphatidic acid)は、Gタンパク共役型LPA受容体(LPA1~LPA6)に結合することで多様な細胞応答を誘発する。近年、がんの発生・進展にLPA受容体シグナル異常が検出されるとともに、LPA受容体シグナルの活性化が、がん細胞の増殖・運動・浸潤・転移および造腫瘍性などのがん細胞の増悪化制御に深く関わることが明らかになりつつある。さらに、がん細胞の抗がん剤抵抗性獲得にもLPA受容体シグナルが重要な役割を担うことが示唆されている。今年度は、がん細胞の抗がん剤・放射線感受性の制御における各LPA受容体の役割を検索することを目的として研究を行った。 ①抗がん剤処理によるがん細胞の細胞生存率に対するLPA受容体の機能解析:骨肉腫(MG-63)細胞のシスプラチン(CDDP)に対する細胞生存率は、GRI-977143(LPA2アゴニスト)処理にて上昇、(2S)-OMPT (LPA3アゴニスト)処理により低下した。また、CDDPに対する細胞生存率は、LPA4ならびにLPA6ノックダウン細胞において有意に上昇することがわかった。 ②がん細胞の放射線抵抗性におけるLPA2の増強作用:膵がん細胞に放射線を照射するとLPA2発現レベルの上昇が見られることから、LPA2ノックダウン細胞を作成し放射線照射を行ったところ、コントロール細胞に比してLPA2ノックダウン細胞の細胞生存率は有意に低下した。Western blot法によるcleaved PARP-1タンパクの解析により、LPA2を介するアポトーシス抑制効果が放射線抵抗性増強につながることが示された。一方、放射線によるDNA損傷・修復は、コントロール細胞およびLPA2ノックダウン細胞間で差異は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤処理により発現誘導されるLPA受容体を標的にノックダウン細胞を作成し、抗がん剤処理がん細胞の細胞機能制御における役割を計画通りに進めている。また、放射線照射に対するがん細胞の細胞生存率における各LPA受容体の機能解析に関しても、ノックダウン細胞を用いた実験ならびにwestern blot法によるアポトーシスの検出など支障なく遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度はこれまでに得られた研究結果をもとに実験を進める。 単一のがん細胞培養環境下のみならず、ヒトがん症例における抗がん剤抵抗性獲得を想定し、固形腫瘍におけるがん細胞をとりまくがん微小環境が、がん細胞の悪性化に及ぼす影響とそれによるLPA受容体シグナルの分子機構の検索を試みる。特に、がん微小環境における炎症反応ががん細胞の生物学的増悪化を促進することが報告されていることから、炎症巣で発生する活性酸素に着目し、がん細胞に過酸化水素処理を行って発現変動の見られるLPA受容体を同定するとともに、標的受容体ノックダウン細胞を作成することで細胞機能解析を行う。また放射線照射においても活性酸素が重要な役割を担うことから、放射線抵抗性獲得機構の視点からも同様に追及する。さらに、長期放射線分割照射によって作成したがん細胞を用いて、細胞増殖・運動・浸潤ならびに抗がん剤に対する細胞生存率の解析も行う。
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