研究課題/領域番号 |
21K07269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
武田 祐輔 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (60505981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 安静時脳活動 / 信号伝達 / 脳波 / 脳磁図 / 時空間パターン |
研究開始時の研究の概要 |
ぼんやりしている時、私たちの頭の中では、様々な考えが泡沫のように浮かんでは消えている。このように、ぼんやりしている時に自発的に浮かぶ考えや意識が、科学的発見や芸術的創造の大きな原動力になっていると考えられる。このような考えや意識が生まれるには、全脳に分散された情報が瞬時に統合される必要があるが、これがどのような信号伝達によって達成されているのか不明である。そこで本研究では、安静時脳波及び脳磁図から、安静時にミリ秒の時間スケールで生じるヒト全脳の信号伝達を明らかにする。
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研究実績の概要 |
安静時にヒト全脳で自発的に生じる信号伝達が明らかになれば、全脳に分散された情報がどのように統合され意識が生まれるのか、そのメカニズム解明に繋がると考えられる。そこで本研究では、安静時にヒト全脳で瞬時的に生じる信号伝達を解明する。 2022年度には、脳波計と光ポンピング磁力計を用いて安静時の脳波及び脳磁図を同時計測するための実験システムを開発した。開発システムの有効性を検証するため、正中神経刺激中の脳波及び脳磁図を開発システムを用いて同時計測し、計測データから皮質脳活動を推定した。推定された皮質脳活動は一次体性感覚野に大きな振幅を有しており、これまでの知見と一致する妥当な結果が得られた。この結果は、開発システムの有効性を支持している。また、光ポンピング磁力計のセンサ配置を決めるアルゴリズムを開発した。開発アルゴリズムは、関心領域の活動を精確に推定するために最適なセンサ配置を探索する。開発アルゴリズムの有効性を模擬データと実データを用いて検証した。これらの成果を論文にまとめ、学術誌NeuroImageに投稿した。 さらに、安静時にヒト全脳で瞬時的に生じる信号伝達とその機能的枠割を明らかにするため、大規模データベースCam-CAN (Cambridge Centre for Ageing Neuroscience) dataset inventory (https://camcan-archive.mrc-cbu.cam.ac.uk/dataaccess/)から600名以上のT1強調画像、安静時脳磁図、行動データを入手した。各被験者の脳磁図から、安静時脳活動に繰り返し現れる時空間パターンを推定し、時空間パターン内の信号伝達を推定した。そして信号伝達の機能的役割を明らかにするため、信号伝達と行動データとの関係を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、脳波-脳磁図同時計測システムを開発し、正中神経刺激実験によってその有効性を確認した。また、当初計画には無かったが、光ポンピング磁力計のセンサ配置を決めるアルゴリズムを開発し、模擬データと実データを用いて検証した。これらの成果を論文にまとめ、学術誌NeuroImageに投稿した。さらに、大規模安静時脳活動データから、安静時にヒト全脳で瞬時的に生じる信号伝達とその機能的枠割を推定した。従って、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、安静時にミリ秒の時間スケールで生じるヒト全脳の信号伝達を明らかにする。2023年度には、2022年度に引き続き大規模データベースCam-CANから入手した600名以上のT1強調画像、安静時脳磁図、行動データから、安静時脳活動に繰り返し現れる時空間パターンを推定し、時空間パターン内の信号伝達を推定する。そして、信号伝達と行動データとの関係を調査することで、信号伝達の機能的役割を推定する。これらの研究成果をまとめ、学会・論文発表を行う。
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