研究課題/領域番号 |
21K07394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
徳原 康哲 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (60746329)
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研究分担者 |
小原 一朗 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (60581775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アミノ酸 / 次亜塩素酸ナトリウム五水和物 / 吸光度 / 臨床検査法 / トリプトファン / 亜硝酸 / アンモニア |
研究開始時の研究の概要 |
アミノ酸代謝異常症には重篤な症状を引き起こす疾患が多いが,尿中アミノ酸を簡易・迅速に測定する臨床検査法は確立されていない.このような状況の中,申請者は種々のアミノ酸を青緑色に発色させる新たな方法を見出した.本研究の目的は,尿中アミノ酸を測定する新規臨床検査法を確立する事である.本研究では,以下の2点を検証する. ① アミノ酸が発色する至適条件と発色機構を解明する. ② 生化学自動分析装置により尿中アミノ酸濃度を測定する. 以上の結果より,尿中アミノ酸濃度の臨床検査が可能となるため,アミノ酸の代謝異常を示す様々な疾患の早期発見・治療へと繋がる検査項目としての利用が期待できる.
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研究実績の概要 |
本研究は,アミノ酸の新規発色法を開発し,生体試料中のアミノ酸を測定する臨床検査法への応用を目的とする.2022年度の主な研究成果を以下に示す. (1)アミノ酸の一つであるトリプトファンの新規発色法を考案した.希塩酸や次亜塩素酸ナトリウム五水和物等を用い,トリプトファン水溶液を赤褐色に発色させる方法を開発した.さらに,赤褐色に発色したトリプトファン水溶液は,520 nm付近にピークをもつ吸収曲線を示すことを明らかにした. (2)アミノ酸からアミノ基が脱離するとアンモニアが生成される.このように,アミノ酸とアンモニアは関連性があることから,アンモニアの検出法に関しても検討をおこなった.その結果,次亜塩素酸ナトリウム五水和物等を用い,アンモニア水を青色に発色させる方法を考案した.また,青色に変化したアンモニア水は,626 nmにピークをもつ吸収曲線を示した.さらに,この青色の色素をメタノールで抽出した試料を用い,LC-TOF-MSによる解析を行った結果,m/z 292に大きいイオンピークを示すマススペクトルが得られた. (3)アンモニア(NH3)は生物ろ過によって亜硝酸(HNO2)に分解されるなど,アンモニアは亜硝酸の生成源となる.そこで,亜硝酸に対する次亜塩素酸ナトリウム五水和物の影響を,分光法,定量試薬,そして試験紙を用いて解析した結果,次亜塩素酸ナトリウム五水和物の添加により,亜硝酸イオン(NO2-)は硝酸イオン(NO3-)に酸化されることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を遂行するうえで,トリプトファンの発色法,アンモニアの発色方法,そして亜硝酸の酸化方法といった新たな研究成果を得ることができたため,研究テーマの探索に関しては順調に進展してる.さらに,本年度の計画であったアスコルビン酸等の共存物質の影響に関しては,発色性に作用する濃度を検討することができた.しかし,アミノ酸の発色機構については,化学反応式の解明までには至っていない.理由は,アミノ酸発色時に様々な構造式をもつ色素が生成されている可能性を示す結果を得たため,種々の化合物の同定に時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
各アミノ酸水溶液を発色させ,色素を抽出し,核磁気共鳴分光法 (Nuclear magnetic resonance: NMR) により色素の構造解析を行う.さらに並行して,様々な色素を対照としてエレクトロスプレーイオン化質量分析法(Electrospray Ionization Mass Spectrometry;ESI-MS)による解析を実施し,マススペクトルを比較することで,発色液中に含まれる色素を同定する.
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