研究課題/領域番号 |
21K07437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
古賀 道明 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60383014)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ギラン・バレー症候群 / ガングリオシド / 自己抗体 / 遮蔽分子 / カンピロバクター・ジェジュニ |
研究開始時の研究の概要 |
ギラン・バレー症候群(GBS)は、感染症を契機に発症する自己免疫性末梢神経疾患である。各種ガングリオシドが自己抗体の標的分子として同定され、先行感染病原体上にガングリオシド様構造が発現するため、患者血中にガングリオシドに対する自己抗体が産生され、これが末梢神経上に発現するガングリオシドと結合することでGBSを発症すると想定されている。しかし、この仮説では病態機序を説明できない点が多く、標的ガングリオシドを遮蔽する分子の存在が強く示唆される。本研究では、この遮蔽分子の存在がGBSの発症と臨床像とに密接に関連していることを証明する。
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研究実績の概要 |
ギラン・バレー症候群(GBS)では、ガングリオシドが自己抗体の標的分子として同定され、本抗体が発症に関与すると想定されている。しかし、抗体と臨床像との関連は必ずしも一致せず、同じ抗体が陽性であっても臨床像は多彩である。例えば、GT1aはGBSにおける球麻痺の標的分子と想定されている。しかし、GBSの臨床亜型であるフィッシャー症候群(FS)ではほとんどの症例でGT1a抗体が検出されるのに対し、球麻痺をきたすことは稀である。したがって下位脳神経にGT1aを遮蔽する糖脂質の存在が予想され、その候補糖脂質の探索を昨年度に行った。プローブとして、球麻痺を主徴とするGT1a抗体陽性GBS 3例の血清を用いた。GT1aに様々な糖脂質29種をそれぞれ混合してGT1a/糖脂質複合体を作成し、このGT1a/糖脂質複合体に対するIgG抗体を測定することで、GT1a単独抗体と比べて活性の低下する糖脂質を検索した。その結果、一つの糖脂質(糖脂質X)がGT1a抗体活性を大幅に低下させた。 今年度は、「下位脳神経で糖脂質XがGT1aを遮蔽していることでFSでは球麻痺をきたしにくい」という作業仮説を検証した。FS 10例で、GT1a単独抗体とGT1a/糖脂質X複合体抗体との測定し、それぞれの抗体力価の差をみることで、糖脂質XによるGT1a抗体遮蔽率を評価した。その結果、FSにおいても糖脂質Xを添加することによってGT1a抗体活性が低下することが確認されたが、その程度は球麻痺の有無で差がなかった(平均遮蔽率:球麻痺があるFS 74% vs 球麻痺のないFS 67%:P=0.52)。つまり、糖脂質XがGT1aを遮蔽することは確認できたが、球麻痺の発現の有無には関与しないことが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次スクリーニングでピックアップされた、GT1aを遮蔽する糖脂質の候補に関して、その意義を検証できたことから。
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今後の研究の推進方策 |
R3-4年度までとは逆の発想で、GT1aの抗原性を増強する糖脂質をスクリーニングすることで、GBSで球麻痺の発現に関与する分子の同定を試みる予定である。
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