研究課題/領域番号 |
21K07463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
越智 博文 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (20325442)
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研究分担者 |
濱谷 美緒 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (20890809)
芦田 真士 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (60884202)
藤井 ちひろ 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (00516065)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 視神経脊髄炎 / AQP4抗体 / アストロサイト / 濾胞性ヘルパーT細胞 / 末梢性ヘルパーT細胞 / 補体 / B細胞 / IL6 / GFAP / NfL / 免疫モニタリング / 疾患活動性 / 個別化治療 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、末梢血濾胞性ヘルパーT細胞(cTfh)が抗体介在性自己免疫疾患である重症筋無力症の疾患活動性を反映することを見出した。そこで本研究では、抗アクアポリン4抗体によって惹起される中枢神経自己免疫疾患である視神経脊髄炎(NMO)患者における、cTfhの細胞表面分子の発現やサイトカイン産生能の変化を経時的に追跡し健常者と比較するとともに、再発や治療効果との関連を解析するなどして、NMOの疾患活動性と治療効果を判定するための末梢血免疫モニタリング法を開発することを目指す。また、cTfhを含む多面的免疫学的指標に基づいた薬剤選択と用量設定によるNMO治療の個別化戦略を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
視神経脊髄炎(NMO)は病原性自己抗体であるアクアポリン4抗体(AQP4抗体)によってアストロサイト傷害が惹起される中枢神経の自己免疫疾患である。治療においては再発を予防することが極めて重要で、近年、高い再発予防効果が期待できる生物学的製剤が次々と登場した。その結果、疾患活動性などの症例間の差に基づいた個別化治療戦略が強く求められるようになっている。我々は、NMOと同様に自己抗体の病原性が明確な抗体介在性自己免疫疾患である重症筋無力症(MG)において、CXCR5陽性で特徴付けられる末梢血濾胞性ヘルパーT細胞(cTfh細胞)が疾患活動性を反映することを新たに見出した。そこで本研究では、①NMOの疾患活動性と治療反応性に関連するcTfh細胞サブセットを同定するとともに、②cTfh細胞を含む多面的な免疫学的指標による末梢血免疫モニタリング法を開発し、③免疫学的指標に基づいた薬剤選択と用量設定によるNMOの個別化治療戦略を確立することを主な目的とした。これまでに、①治療介入後の継続的な追跡により、血清中のAQP4抗体価は経時的に低下傾向となり、一部の症例では陰転化すること、②脳脊髄液中でのみAQP4抗体が陽性となる症例があること、③補体C5を標的としたエクリズマブ治療と同様に、IL6シグナルを標的としたサトラリズマブ治療においても血清中の補体濃度の低下が認められる一方で、④CD19を標的としたイネビリズマブによるB細胞枯渇化治療では血清中の補体濃度の変化は明確ではないこと、⑤NMO脳脊髄液中では多発性硬化症(MS)に比較してIL12、APRIL、BAFF、CCL2の濃度が有意に高い一方で、CCL3やCCL5の濃度が有意に低いこと、⑥MSと異なりNMOでは、脳脊髄液中のサイトカイン・ケモカインプロファイルとMRI画像所見との間に有意な関連性が認められないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの解析では、MGのようにIL21を高発現するcTfh細胞の増加は確認できていない。その原因として、解析対象となった患者は経口ステロイド薬や免疫抑制薬、あるいは生物学的製剤による再発予防治療中で安定期にあったことが考えられる。発症時を含む急性増悪期での検討が必要と考えられるが、治療中の再発例や初発無治療例での解析が実施できていない。また、我々は、CXCR5陽性で特徴付けられるcTfh細胞がMGの疾患活動性を反映することを手がかりに、NMOの疾患活動性と治療反応性に関連するcTfh細胞サブセットを同定することを試みている。しかし、リンパ濾胞外で抗体産生細胞の分化を促進する機能を有する細胞集団には、cTfh細胞のほか、末梢性ヘルパーT細胞(Tph細胞)が知られている。B細胞分化誘導にかかわる役割の違いなど、両者の異同は明確ではなく、NMOにおいてはTph細胞が主役を成している可能性も否定できない。 本研究において、治療介入後の血清中AQP4抗体価は経時的に低下傾向となり、一部の症例では陰転化することが明らかとなった。また、同様に補体濃度も低下傾向となるが、AQP4抗体価と異なり一部の治療では低下が認められず、治療薬に依存する可能性が考えられる。現在、さらに症例数を増やすとともに追跡期間を延長し、免疫学的指標の測定・解析を継続している。また、本研究において、NMOでは脳脊髄液中のサイトカイン・ケモカインプロファイルとMRI画像所見との間に有意な関連性が認められないことが明らかとなったが、MRI画像所見を反映する免疫学的指標は見出せていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、NMO患者を対象に神経学的評価のほかに、初発無治療患者と再発患者では急性期治療の前後で、安定期の患者では受診頻度に応じて3から6ヶ月ごとに末梢血サンプリングを実施する。また、サンプリングで収集した試料を用いて、NMOの末梢血免疫病態の中核となる①cTfh、②形質芽細胞、③AQP4抗体価、④補体、⑤Th17、また、組織傷害を反映する血中の⑥GFAP濃度と⑦NfL濃度を経時的に追跡し、治療薬、再発や治療反応性との関連を解析する。近年、解析対象となる再発患者が極めて少ない。また、初発無治療例も少ない状況が続いている。今後も可能な範囲で、初発無治療患者での解析に重点を置く予定である。これまでの解析では、MGのようにIL21を高発現するcTfh細胞の増加は確認できていない。NMOにおけるB細胞分化誘導にはTph細胞が主役を成している可能性も考慮し、解析対象をCXCR5陽性で特徴付けられるcTfh細胞に加え、CXCR5陰性PD1高発現で特徴付けられるTph細胞にも広げる予定である。
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