研究課題/領域番号 |
21K07468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
河野 浩之 杏林大学, 医学部, 講師 (30602578)
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研究分担者 |
平野 照之 杏林大学, 医学部, 教授 (50346996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳梗塞 / CT灌流画像 / 虚血コア / 時間 / 灌流画像 |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞急性期の血栓回収療法の治療適応は、時間経過重視のtime-based therapyから、画像所見(虚血コアのサイズ)で決まるimaging-based therapyに大きく方向転換した。虚血コアは治療しても回復できない領域である。ところが、回復できないはずの虚血コアが回復する現象がある。幻の虚血コア現象は急性期治療の適応に重大な影響を与える。本研究の目的は、画像情報と時間情報を融合し新しい虚血コア判定システム(time & imaging-based therapy)を作成することである。本研究の成果は、患者ひとりひとりの正確な虚血コア判定に基づく個別化医療に結びつけることができる。
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研究実績の概要 |
【背景】急性期脳梗塞において、虚血コアは治療しても回復しない領域と定義されている。そのため、治療前の推定虚血コアは治療後の脳梗塞体積と一致するはずである。しかし、推定虚血コアと治療後脳梗塞の体積に差(absolute volume difference, AD)が生じることがある。【目的】本年度は、ADが生じる要因のひとつとして、解析アルゴリズムによる違いがあるのではないかと考えた。そこで、発症から画像診断(onset-to-image, OI)までの時間と、ベイズ推定法とsingular value decomposition(SVD)法の各方法により得られたAD値の比較を行った。【方法】対象は2019年1月から2020年9月に、血管再開通療法を実施した前方循環閉塞による急性期脳梗塞患者のうち、CT灌流画像で治療適応を判断し、治療により良好な再開通が得られ、治療24-72時間後に頭部MRIを撮影した47症例である。有効再開通はmodified TICI分類を用いて、グレード2b以上とした。【結果】AD値(中央値)はベイズ推定法18.4ml、SVD法で16.8mlであり両手法に統計学的有意差はなかった。OI時間が短いほどAD値は大きくなり、その傾向はベイズ推定法よりSVD法で大きい傾向があった。また、推定虚血コア体積が大きいほどAD値が大きく、ベイズ推定法よりSVD法で大きい傾向であった。【結論】発症から早期に画像診断を行い虚血コアが大きい症例において、ベイズ推定法よりSVD法で誤差が大きかった。発症から画像診断までの時間や虚血コア体積の大きさの影響を受けにくいベイズ推定法を用いることが望ましいかもしれない。【意義】本研究はNeurol Sciに掲載された。前年度行った解析でも発症からの時間が画像解析結果の精度に影響を与えることが示唆される。治療適応判定にも影響する重大事象であることから、引き続き、虚血コア判定システムの開発に繋がる研究を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症蔓延による脳卒中救急医療の逼迫のため、症例登録はやや遅延した。画像位置合わせ技術の導入に予定よりも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
画像情報の位置合わせを行いより正確な虚血閾値設定を行う解析体制を整えることができた。研究期間内に研究予定を完遂するため、解析を進めていく。
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