研究課題/領域番号 |
21K07491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
楯林 義孝 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (80342814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | うつ病 / 社会敗北ストレス / 海馬 / シータ波 / 前脳基底核内側中隔核 / ミエリン / 脂肪酸 / モデルラット / 海馬シータ波 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、社会敗北ストレスをラットに用いる系を長年検討し、ラットに長期間の病的社会回避行動と睡眠障害、海馬依存性恐怖記憶障害を生じるモデル系の作成に成功した。2種類の抗うつ薬の慢性投与(4週間)でそれら異常が有意に改善した。それらラットの解析から、病的社会回避行動が海馬θパワー値の増減と有意に相関する結果を得た。本研究ではSHP内を走行するMS-GABAの軸索が、他のコリン系軸索などに比較して強度にミエリン化されていることから、SHPのミエリン障害がREMθパワー低下の原因であると仮説を立て、検証する。
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研究成果の概要 |
海馬θ波は脳の最も重要な基礎律動の一つだが、海馬θパワー値低下がうつ病発症原因の最上流に位置する可能性がある。社会敗北ストレスラットではうつ病様行動が海馬θパワー値と相関する。今回、社会敗北ストレスラットの脳内における脂肪酸変化を調べ、ヒト死後脳研究で得られた異常と同様の脂肪酸分画異常が早期から存在することを見出した。この分画異常はミエリンの異常によるものと考えられる。直接的ではないが海馬REMθパワーの減少も、ミエリンの異常による軸索伝導異常によるのではないかと推察された。今後の研究が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳で一番多い構成成分は水分を除くと脂質になる。しかしながら脂質と脳機能の関連はほとんど研究されていない。我々のプレリミナリーな研究によると遺伝子は脂質代謝の一部しか関与しておらず、脂質代謝がどのようにコントロールされているのかは未だに不明である。我々はヒト死後脳研究で、精神疾患のクレペリン診断依存的に脂質異常があることを報告してきた。今回、我々はn数は少ないものの、うつ病モデル動物の脳内で、同様の変化が生じているプレリミナリーなデータを得た。神経軸索におけるミエリン減少は確実に海馬θパワーの低下などに関与すると考えられる。今後の研究の積み重ねが期待される。
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