研究課題
基盤研究(C)
現在日本で使われている抗うつ薬は、モノアミンに関連する薬理作用を持った薬物しかなく、これまでとは異なった薬理作用を持った抗うつ薬の開発が望まれている。研究代表者はこれまでに、リゾホスファチジン酸(LPA)1受容体作動薬が新たな抗うつ薬になる可能性を報告した。本研究ではドラッグ・リポジショニングを活用し約1600の既存薬からスクリーニングを行い、治験に繋がるLPA1受容体作動薬を同定することを目的とする。得られた薬物に関して、うつ病モデルマウスで抗うつ効果を評価し、うつ病治療薬としての有用性を検証する。
本研究では、リゾホスファチジン酸(LPA)1受容体を介した抗うつ効果のシグナル伝達メカニズムを解明し、既存薬からLPA1受容体アゴニストを同定し、抗うつ治療薬としての可能性を探ることを目的とした。Gタンパク質バイアス型LPA1受容体アゴニストが抗うつ効果において重要であることを明らかにした。約1600の化合物から段階的なスクリーニングを行い、候補化合物の絞り込みを行い、これらの中から特に活性が高いLPA1受容体アゴニストを特定したが、明らかなバイアス型アゴニストは未だ見つかっていない。今後、化合物の数を増やし、さらなる探索を進める予定である。
LPA1受容体シグナルに関しては「うつ病様行動を促進する報告」と「抗うつ効果を示す報告」の相反する報告がなされており、その原因は不明であった。本研究で、同じLPA1受容体でも下流シグナルのバイアスにより相反する行動が誘導されることを世界で初めて証明し、過去の報告の矛盾を説明するシグナルメカニズムを提唱することができた。LPA1受容体アゴニストは、これまで内因性リガンドであるLPAの構造類似体しかなかった。今回の既存薬からのスクリーニングを行ったことで、低分子化合物にもLPA1受容体アゴニストが存在することが明らかとなった。今後LPA1受容体アゴニストを合成する際に非常に重要なデータとなる。
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