研究課題/領域番号 |
21K07522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小原 知之 九州大学, 大学病院, 講師 (20623630)
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研究分担者 |
吉田 大悟 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (10596828)
中尾 智博 九州大学, 医学研究院, 教授 (50423554)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知症有病率 / 大脳白質病変 / 網膜厚の菲薄化 / 嗅覚低下 / sTREM2 / 睡眠時間 / 認知症 / 有病率 / 炎症 / 罹患率 / 危険因子 / 時代的変化 |
研究開始時の研究の概要 |
福岡県久山町で継続中の疫学調査(久山町研究)の一環として行われている認知症の追跡調査の成績を用いて認知症の危険因子・防御因子を同定する。また、新たに認知症有病率の悉皆調査を実施し、2012年以降の地域高齢住民における認知症有病率の時代的推移を解明する。さらに、2002年から2012年、2012年から2022年まで追跡したコホートをそれぞれ比較して、認知症の罹患率とその予後の時代的変化を検討するだけでなく、認知症の罹患率や予後の時代的変化に影響を与える生活習慣病関連因子も明らかにする。
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研究実績の概要 |
1)認知症有病率の悉皆調査 2022年4月1日時点で福岡県久山町在住の65歳の全住民2,435人を対象に認知症有病率の悉皆調査を同年5月30日から開始した。現時点までに2,201人の調査が完了している(現時点での受診率:90.3%)。受診率92%以上を目指して自宅訪問での調査が進行中である。 2) 大脳白質病変と脳萎縮が認知症発症に及ぼす影響:2012年の久山町住民健診で認知機能検査と頭部MRI検査を受けた認知症のない1,158人を5.0年間前向きに追跡し、白質病変の増大と全脳容積低下が認知症発症に与える複合的影響を検討した。その結果、白質病変の増大に伴い認知症の発症リスクは有意に上昇した(傾向性P< 0.001)。さらに、全脳萎縮に白質病変の増大が加わると、認知症の発症リスクが相加的に上昇することを明らかにした。 3)嗅覚低下または網膜厚の菲薄化と認知症または軽度認知障害、および脳萎縮の関係:2017年の久山町住民健診で嗅覚検査または網膜厚測定と頭部MRI検査を実施できた65歳以上の住民を対象に嗅覚低下または網膜厚の菲薄化と認知症または軽度認知障害、および脳萎縮の関係を横断的に検討した。嗅覚低下者または網膜厚菲薄者における認知症または軽度認知障害(MCI)の粗有病率は非低下者の祖有病率と比べいずれも有意に高かった(全P< 0.05)。脳画像解析では、嗅覚低下者または網膜厚菲薄者は非低下者に比べ、海馬、扁桃体、側頭葉、後頭葉などの容積が有意に小さかった。さらに認知症者とMCI者を除外した感度解析においても、同様の有意な関連が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に準じて順調に有病率調査が進行中である。また、認知症の危険因子についても検討することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の認知症有病率に関する悉皆調査を完了させる。悉皆調査の成績を整備して、1985年から2023年までの認知症有病率、罹患率、予後の時代的変化を明らかにする。また、認知症の危険因子の探索を継続する。
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