研究課題/領域番号 |
21K07539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神出 誠一郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30376454)
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研究分担者 |
菅谷 佑樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (00625759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海馬 / 苔状細胞 / 顆粒細胞 / カンナビノイド / イメージング / 記憶学習 / 帯状細胞 / 学習記憶 / エピソード記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
カンナビノイドはカンナビノイドCB1受容体を介して記憶・情動等に幅広く影響する。CB1受容体は中枢で特に海馬歯状回の苔状細胞の軸索終末に強く発現し、認知機能障害の発症機序と関連が注目されている。本研究では申請者らが世界に先駆けて確立した苔状細胞特異的な遺伝子操作、および苔状細胞軸索終末のCB1受容体活性in vivoイメージングを用い、エピソード記憶形成における苔状細胞CB1受容体の役割や、苔状細胞のCB1受容体特異的抑制後のエピソード記憶形成への影響等を明らかにする。以上から、海馬歯状回のカンナビノイド受容体と認知機能障害の関連の一端が解明され、新たな治療法開発につながることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では最新のイメージング技術と遺伝子改変技術を用いて、エピソード記憶における海馬歯状回の内因性カンナビノイドシグナルの役割を検討した。苔状細胞への内因性カンナビノイドシグナルを行動課題中のマウスで観察したところ、苔状細胞の活動とは異なるタイミングでシグナルが観察されることが明らかとなった。さらに歯状回の内因性カンナビノイドシグナルが低下したマウスでは、恐怖条件付けの一部の学習が障害されていた。したがって、苔状細胞-顆粒細胞シナプスの内因性カンナビノイドシグナルは苔状細胞の活動とは異なるタイミングで活性化し、エピソード記憶を制御している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海馬歯状回における内因性カンナビノイドシグナルとエピソード記憶との関連はこれまで明らかでなかった。本研究では、内因性カンナビノイドに深く関わると考えられる苔状細胞のカンナビノイドシグナルを可視化し、行動実験を行うことで、エピソード記憶における歯状回の役割の一端を明らかにした。特にカンナビノイドシグナルに深く関わる苔状細胞-顆粒細胞シナプスでは、苔状細胞の活動性とは異なるタイミングで内因性カンナビノイドシグナルが活性化し、エピソード記憶処理のプロセスを修飾している可能性が示されたことは、ヒトの記憶のメカニズム解明に迫り、学術的な意義だけでなく、新たな治療法への道筋など社会的にも大きな意義がある。
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