研究課題/領域番号 |
21K07615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小野口 昌久 金沢大学, 保健学系, 教授 (30283120)
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研究分担者 |
澁谷 孝行 金沢大学, 保健学系, 助教 (80762509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 心臓動態ファントム / 心電図同期心筋SPECT / 心機能 / 心筋血流 / 標準化 / ガイドライン / 精度管理 |
研究開始時の研究の概要 |
今回開発したファントムの特徴は,心内膜と心外膜を模した特殊二層シリコンゴムによる心臓部の構築と心筋壁厚および左心室容積が可変する起動部の構築の2点から成る三次元心臓動態ファントムであり,本研究では,機能画像および心機能指標値の精度管理と標準化の実用化に向けて,必要な三次元心臓動態ファントムの構築と改良,機能画像と指標値の精度管理の確立および技術的な標準化ガイドラインの構築に着手する。
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研究実績の概要 |
令和4年度の研究は,三次元心臓動態ファントムの動作確認,指標値の精度および再現性の検証であり,心機能解析評価プログラムは代表的なQuantitative Gated SPECT(QGS)を基本とし,必要に応じ4DMやCardio-REPOを用いる。上記プログラムから,正常,小心臓および病態モデルにおける各心機能指標値(EDV,ESV,LVEF,壁運動および血流増加率など)を算出し,その値の妥当性および精度(算出値/理論値比:M/T比)を明らかにする。さらに,近年,着目されている心臓専用半導体検出器D-SPECT(Spectrum Dynamics medical)を用い,収集条件(収集時間,収集カウント,収集軌道,ピクセルサイズ,1心拍の分画数,心拍数など)および画像処理条件(処理フィルタ,画像再構成)の至適化と同時に,空間分機能や散乱線など各補正効果による指標値の精度を検証する。M/T比と左室容積の関係では,左室容積が小さいほどM/T比は低値となり,理論値60mL以上で一定値を示した。収集カウントはLV countsが0.4~1.5Mcountsの範囲で左室容積およびLVEF値はほぼ安定し,画像再構成法の検討では,左室容積およびLVEFともにOS法に比しLF法で有意に高値を示した。単核種および二核種収集におけるTc-99m画像の検討では,Tc-99m/I-123比(投与量比)が5.0/1以上あれば同等な画像となるが,3.5/1以下の場合,二核種同時収集のTc-99m画像で偽欠損が生じた。心筋壁肥厚例の検討では,壁厚10mmおよび15mmともに画像再構成がSD法に比しOS法で壁厚が厚く描出された。以上,新型三次元心臓動態ファントムを用いることにより,従来のアンガー型カメラの他,半導体検出器のgated SPECTから得られる心機能指標値の精度および特性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は本ファントムの動作確認,指標値の精度および再現性の検証である。従来のガンマカメラの他,心臓専用半導体検出器D-SPECT(Spectrum Dynamics medical)では心臓動態ファントムを用いた心機能評価は国内では行われていないため,当装置のgated SPECTから得られる心機能指標値の妥当性を明らかにすることは大きな意義を持つ。心臓ファントムは小心臓および正常モデルを用い,使用核種はTc-99mおよびI-123とした。LVEFが30~60%になる左室容積を作成した。収集カウントは単核種収集では,Tc-99m 0.4~1.5Mcounts,I-123 1.5Mcounts,二核種同時収集では,I-123 1.5Mcounts,Tc-99m はI-123が1.5Mcountsになる時間で収集し,R-R分割数は16とした。画像再構成法はSD法,OS法,LF法およびSH法を用い,得られた短軸像を世界基準であるQuantitative Gated SPECT(QGS,Cedars Sinai Medical Center)解析評価プログラムで解析し,各心機能指標値を算出した。その結果,M/T比(算出値/理論値比)と左室容積の関係では,左室容積が小さいほどM/T比は低値となり,理論値60mL以上でM/T比 約0.75で一定値を示した。収集カウントはLV countsが0.4~1.5Mcountsの範囲で左室容積およびLVEFはほぼ同等の値となった。画像再構成法は,左室容積およびLVEFともにOS法に比しLF法で有意に高値を示した。以上,半導体検出器の特徴が明らかとなり,基礎実験や動作確認の検証をスムーズに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は最終年度でもあり,機能画像と心機能指標値および技術的標準化ガイドラインの構築を目指す。今回,多施設の共同実験,データ収集にあたり,三次元心臓動態ファントムの胴体部分の一部改良(特に肝臓・胆嚢ファントムの改良),欠損心筋の作成および欠損描出能の評価を追加する。具体的には,心電図同期心筋SPECT撮像で重要なコリメータの種類,収集条件(収集時間,収集カウント,収集軌道,ピクセルサイズ,1心拍の分画数など)および画像処理条件(処理フィルタ,画像再構成)の物理的条件の至適化と同時に,空間分機能,散乱線,減弱の各補正効果および部分容積効果における各指標値の精度を検証する。 次に,北陸三県(福井,石川,富山)を含む,全国約5施設・10機器の心電図同期心筋SPECT検査の指定条件および各臨床撮像条件で本ファントムを収集,画像解析し,機能画像および心機能指標値を構築する。指定条件および各施設の算出値を元に基準値を定義し,指定条件から算出された指標値の範囲内にあるか客観的に判定する。改善すべき撮像・処理条件があれば,その項目をフローチャート形式で示し,改善策を含めた標準化ガイドラインを作成し,機能画像と指標値の標準化を図る。
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