研究課題
基盤研究(C)
胎児死亡の原因となりえる胎児のQT延長症候群(LQTS)の早期診断法を確立することが本研究の目的である。非侵襲的な検査である胎児心臓超音波検査、母体採血により胎児LQTSが診断できるかを検討する。胎児心磁図でのQT間隔と心臓超音波検査所見の関係を明らかにし、母体血中のCell free fetal DNAを用いた遺伝子診断の可能性を明らかにする。新規診断法により遺伝子型確定も含めて胎児LQTSを診断することで、有効な胎児治療の選択が可能となり、胎児LQTSの予後改善に貢献できる。
【背景】胎児LQTSにおいては容拡張時間(IRT)が延長すると報告されているが、確立された基準値はない。また、成人のLQTS患者での心エコーでSpeckle tracking法でのGlobal longitudinal strain(GLS)が低下することが報告されており、胎児での診断においても有用なパラメータとなる可能性がある。技術の進歩により、胎児においてもSpeckle tracking法でのGLS計測が可能となってきたが、メーカーにより数値の差異があるという問題がある。【対象および方法】2023年度にCanon社 Aplio i800を用いて評価を行った18胎児における23回の記録。パラメータの在胎週数での変化、LVEFとGLS、s’の関係を検討した。【結果】LVDd 11.1±2.9 mm、LVDs 6.7±2.2 mm、LVEF 71.0±13.7 %、E 46.8±23.5 cm/s、A 58.1±19.5 cm/s、E/A 0.84±0.35、ICT 38.2±10.9 ms、ET 165.5±12.1 ms、IRT 53.6±16.8 ms、Tei index 0.56±0.14、s’ 4.3±0.8 cm/s、e’ 4.9±1.4 cm/s、a’ 5.6±1.8 cm/s、GLS -23.3±4.9 %であった。LVDdは在胎週数と正の相関を呈したが(r=0.50)、その他のパラメータは週数での明らかな変化はなかった。収縮性の指標となるLVEFとGLS、s’には相関関係はみられなかった。【考察】右室優位の胎児循環において、QT間隔の変化が各パラメータにどの様に影響するかは未知である。今回の対象に胎児LQTSの症例が含まれず、比較検討ができなかったが、今後さらに症例を集積しパラメータの有効性について検討を進める予定である。
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