研究課題/領域番号 |
21K07860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
菅野 直美 (石橋直美) 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30738539)
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研究分担者 |
鈴木 英雄 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400672)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)
内田 文彦 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70736008)
岡田 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80757526)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | NASH / RNP / 抗酸化剤 / ナノ粒子 / p62 / Nrf2 / 遺伝子改変マウス / LPS / 腸肝軸 / 抗酸化nano-medicine |
研究開始時の研究の概要 |
DKOマウスでは, 肥満と随伴するdysbiosisにより産生が増大したLPSが, Gut-Liver axisを介して, 肝の炎症性障害と線維化反応の蔓延により, NASH発症と肝発癌に至る.DKOマウスに高脂肪/ショ糖食を摂餌させると,NASHの進展が加速し,全例に強い肝線維化と肝癌が確認されている.RNPOはGut-Liver axis のを介して, DKOマウスにおいて, 肝臓の酸化ストレスレベルを軽減して線維化を抑止する効果を有する.DKOマウスに対してRNPOを経口投与し, RNPOがGut-Liver axisを介してNASH発症と肝発癌を抑止するか検証する.
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研究実績の概要 |
NASHの発症・進展には細菌菌体成分であるリポ多糖(LPS)の関与が報告されている.一方, 生体の酸化ストレスセンサーであるKeap1-Nrf2 pathwayの異常は酸化ストレスの増大より肝発癌を誘発する. 本学で開発されたSqstm1:Nrf2遺伝子二重欠失(DKO)マウスでは, 肥満と随伴するdysbiosisにより増大したLPSが, Gut-Liver axisのルートを介して, 肝の炎症性障害と線維化反応の蔓延によりNASH発症と肝発癌に至る. 一方, 本学で開発された抗酸化nano-medicine(低分子量ニトロキシドラジカルを中心に位置する直径40nmのpH非応答性レドックス粒子: RNP)は, 経口投与により腸管, 肝臓に高濃度に集積し, 血漿中に高濃度に滞留する. RNP は悪玉活性酸素種を選択的に消去し顕著な抗酸化作用を発揮するより, LPSによる肝障害を軽減し, 肝発癌を抑止する可能性がある.本年度は,DKOマウスRNPを経口投与し,脂肪性肝炎の病変進行と肝癌に対する抑止効果を検討した.高脂肪食摂餌RNP投与群(R)と非投与群(C)では, 肝病理組織のSAF scoreにおいて脂肪化はR群で高値である一方(C: 2.2±0.1, R: 1.8±0.1),炎症に差はなく,線維化は,C群よりも軽度であった.R群では腫瘍発生は認められなかったが,C群では17 /52例に腫瘍が認められた.RNP投与により血中LPS濃度の変動は認められなかったが,C群中の腫瘍が見られた群と比較し, 肝におけるLBP発現は低下していた. 腸内細菌叢のゲノム解析より, 通常食と比較して高脂肪食摂餌は腸内細菌の種多様性を低下させたが,一方,RNP投与は種多様性を回復させた.RNP投与による腸内環境の改善は,肝へのLPS流入の減少につながり,線維化進展と肝発がんを抑止した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nrf2システムはLPSストレスの改善に重要な役割を演じる.高脂肪食を摂取したDKOマウスでは,炎症・酸化ストレスの病態下にLPSストレスが肝臓に蓄積しており,一方,Nrf2欠失の環境下において,RNPは蓄積したLPSストレスを緩和し,NASHによる肝線維化や肝発癌を抑止すると推測された.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析で,RNPがNASHおよび肝癌モデルマウスの肝線維化と肝発癌を抑止することを明らかにした.今後はRNPが肝線維化,肝発癌を抑制した機序を解明することに焦点を当て,更に実験解析を進める. RNPの抗酸化作用が肝線維化,肝発癌の抑止に関わることが示唆される.今後は,RNPの抗酸化作用の詳細なメカニズムを明らかにするため,培養肝細胞(Hepa1-6)にRNPを投与し,酸化ストレス消去能および酸化ストレス応答遺伝子の発現変化を解析する.また,腸内細菌叢解析ではRNPが腸内細菌叢に影響を及ぼし,LPS産生や酸化ストレス発生に影響を与えた可能性も示唆された. 腸内細菌の組成の変化により短鎖脂肪酸、胆汁酸組成も変化し、線維化、肝癌発症に与えている可能性があるため, 便中脂肪酸解析、胆汁酸解析の追加も検討していく. RNPの肝発癌抑制のメカニズムについては,非癌部(肝硬変部)の全遺伝子検索の結果を元に,DKOマウスの肝発癌に関わる因子の特定と,RNPが影響を与える癌シグナルの詳細をさらに解析していく.上記の研究計画により,引き続きRNPがNASH発症と肝発癌を抑止するメカニズムについて検証する.
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