研究課題/領域番号 |
21K07907
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 良太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80647660)
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研究分担者 |
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膵臓癌 / 腸内細菌叢 / 慢性膵炎 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性膵炎は膵臓癌の主要な危険因子の一つとして知られているが、慢性膵炎による膵発癌促進の詳細な機序は明らかに なっていない。本研究では、慢性膵炎モデルマウス及び慢性膵炎による膵発癌モデルマウスの腸内細菌叢の解析を行うことで膵炎を増悪させる原因となる腸内細菌を同定し、さらにこれらの細菌が生体に起こす様々な影響を解析する。特に腫瘍内神経を介したアドレナリンシグナルなどの神経シグナルへの影響について解析し、腸内細菌叢からの膵炎・神経を介した膵臓癌発生・進展促進機序について明らかにする。これにより慢性膵炎患者の腸内細菌叢に着目した膵臓癌発生の予防法や、膵 臓癌の新たな治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
慢性膵炎は膵臓癌の主要な危険因子の一つとして知られているが、慢性膵炎による膵発癌促進の詳細な機序は明らかになっていない。慢性膵炎においては様々な免疫細胞が炎症性サイトカインなどを介して腫瘍細胞、線維芽細胞などとの相互作用を通じて腫瘍微小環境を形成している。近年腸内細菌を始めとする生体内の細菌叢が腫瘍の進展に寄与することが報告されており、膵臓癌の発生・進展においても腸内細菌の関与が示唆されているが、その詳細な機序や腸内細菌が慢性膵炎においても腫瘍進展に寄与するかどうかは明らかになっていない。前研究において、交感神経シグナルが膵臓癌の発生・進展に重要であることや、慢性膵炎による発癌過程における抗腫瘍免疫の低下機序について報告しているが、本研究では膵炎症性発癌における腸内細菌の寄与、特に腫瘍微小環境における神経シグナルや免疫環境への作用について明らかにすることを目的としている。 本研究では慢性膵炎を背景とした膵発癌モデルマウスを用いて、このマウスにおいて交感神経が増加していることを確認した。交感神経シグナルの阻害薬による治療を行い、腫瘍進展の抑制、神経増生の抑制、免疫細胞の変化について解析を行った。またこのマウスモデルの腸内細菌叢を解析し、特徴的な細菌叢を同定した。このマウスモデルの便を他のマウスに移植することで腫瘍進展が促進されることを確認し、さらにこのマウスの膵腫瘍・神経組織や免疫細胞の変化についても解析を行うことで、腸内細菌による腫瘍内神経・免疫調節を介した腫瘍進展機序についての解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LSL-KrasG12D;Pdx1-Cre;Elastase-IL-1betaマウス(KC-IL1betaマウス)を用いて、慢性膵炎を背景とした膵腫瘍進展機序における交感神経シグナルの寄与を明らかにするため、アドレナリン受容体の阻害薬をこのマウスに投与して抗腫瘍効果、免疫細胞浸潤への影響を解析した。アドレナリン受容体阻害薬で治療したマウスの膵腫瘍の進展は対照と比較して抑制されており、またフローサイトメトリーによる解析において膵腫瘍における免疫細胞浸潤が減少していた。特に腫瘍免疫に関わる複数の細胞種の減少が認められ、慢性膵炎による膵腫瘍進展機序における交感神経シグナルを介した腫瘍免疫抑制機序の存在が示唆された。 KC-IL1betaマウスからKCマウスへの便移植実験では腫瘍の進展が促進されており、腸内細菌叢の変化による膵炎の増悪や腫瘍進展機序が示唆されていた。さらにこの膵腫瘍組織の組織学的な解析を進め、膵腫瘍における交感神経の増生や免疫細胞浸潤の増加も認められた。このことから疾患特異的な腸内細菌叢が腫瘍内の神経や免疫環境に作用することで腫瘍進展に影響している機序が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
腸内細菌叢の変化が見られる機序の一つとして、慢性膵炎に伴う外分泌機能の低下の関与の有無や腫瘍進展機序における腸内細菌の代謝物の解析を行い、腫瘍進展機序の解明を目指す。また交感神経シグナルを阻害した際の腸内細菌叢の変化についてもも検討し、腸内細菌と腫瘍との相互作用について明らかにする。
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