研究課題/領域番号 |
21K07927
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
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研究分担者 |
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90271436)
中村 健太 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60789692)
國分 啓司 産業医科大学, 医学部, 助教 (00432740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | PKR / タンパク質相互作用 / 小腸上皮 / インフラマソーム / BiFC / NLRP3 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で免疫関連因子であるPKRがactin分解を抑制し、細胞膜の安定化に寄与することが明らかとなった。本研究では、PKRによる防御機構のさらなる解明を目的とし、インフラマソームを解析する。具体的には、細胞内タンパク質結合検出法や腸管上皮オルガノイドを用い、NLRP3インフラマソームの広範囲な因子への応答とPKRとの関連について、1)PKR, GSNとNLRP3との相互作用、2)PKR変異に伴うインフラマソーム活性化への影響、3)オルガノイドPKR変異による炎症惹起への影響の3点に着目し研究を行う。本研究は、インフラマソームが関連する炎症性疾患の病態解明や臨床応用への礎になると考える。
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研究実績の概要 |
我々は、以前に2本鎖RNA依存性キナーゼであるPKRがactin分解を抑制し、細胞自身が有する自然免疫としてウイルス侵入防御に寄与することを明らかにした。本申請は、PKRによる細胞防御機構のさらなる解明を目的とし、炎症に際して生じるタンパク質複合体“インフラマソーム”を解析する。具体的には、細胞内タンパク質結合検出法、PKR変異や腸管上皮オルガノイドを用いてNLRP3インフラマソームの応答とPKRとの関連を調べる。 本年度は、以下の成果を得た。1.マウス小腸および結腸組織におけるPKRとGSN, NLRP3, PKRの基質であるeIF-2について免疫組織化学およびRNAScope法を用いたin situハイブリダイゼーションを行い、それぞれの組織上での発現部位を同定した。2.小腸上皮細胞においてPKRは合成2本鎖RNA(poly I:C)に応答し、細胞死を誘導した。その細胞死は、形態学的ならびに生化学的に解析した結果、少なくともApoptosis, Necroptosis, Paraptosisの3種類が生じている事が明らかとなった。3. 2%デキストラン硫酸ナトリウム投与によるIBDモデルマウスを作製し、炎症時および炎症回復時におけるPKR発現の変化を解析し、小腸および結腸の部位によるPKRと活性型eIF-2の発現について相関性がある事を明らかとした。 これらの結果は日本顕微鏡学会において報告を行い、一部の結果は論文投稿の準備を整えた段階である。PKRとその結合タンパク質が消化管上皮において果たす役割の検討を重ねており、インフラマソームとPKRとの関連の可能性を示す結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インフラマソーム活性化におけるPKRとGSNの役割を解明するために、以下の4項目について解析を行う計画である。①上皮細胞内におけるPKR/GSN, NLRP3の相互作用。②変異型PKR発現細胞株におけるインフラマソーム活性化への影響。③IBDモデルマウスにおけるPKR, GSN, NLRP3の発現。④小腸上皮オルガノイドへの変異型PKRの遺伝子導入による影響。 現在、上記4項目のうち項目3が概ね解析終了している。またin situハイブリダイゼーションによるmRNA発現検出システム、DSS腸炎モデルマウス、および小腸オルガノイド培養系の樹立などを達成できている。これらにより、物質的、技術的な準備を整えることができたと考えている。新しく導入したin situハイブリダイゼーションの検出システムは特異性高く機能しており、各種遺伝子の局在解析に役立っている。しかし、アデノ随伴ウイルスによるマウスPKR変異遺伝子導入の準備に時間がかかり、計画には遅れが生じた。そのため、やや遅れ気味であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製したプラスミドを用いて変異細胞を樹立し、形態学的な評価およびインフラマソームの活性化評価システムの構築に取り組む。今年度の実験結果、実験計画に一部遅延した項目が生じているが、全体の実験を進める上で支障はなく、研究計画自体の変更については予定していない。オルガノイドおよびアデノ随伴ウイルスを用いた変異導入実験については時間を要する研究項目でもあるため、引き続き、研究協力者の協力を得ながら進めて行く。研究の推進方策として、引き続き、本研究の目的のうち、②PKR変異に伴うインフラマソーム活性化、④IBDモデル小腸上皮オルガノイドにおける変異型PKRの影響の2項目について、研究を進めていく予定である。
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