研究課題/領域番号 |
21K08021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 特任教授 (30192272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ウイルス性心筋炎 / APE1 / HFrEF / バイオマーカー / アポトーシス / ウイルス感染庄 / 心筋傷害 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年秋現在、COVID-19パンデミックの猛威は、終息の気配すら見えない。 本研究では、ウイルス性心筋炎の病態重症化機序とAPE1の作用機序の共通性から、以下の二つの仮説を検証する。 ①APE1がウイルス性心筋傷害の発生・重症化を早期に検出する新たなバイオマーカーとなり得る。 ②APE1がウイルス性心筋傷害の心筋組織修復・心機能回復の新たな治療標的となり得る。 この検証のためウイルス性心筋傷害マウスモデルを用い、経時的解析によりウイルス性心筋傷害の診断・治療両面における新たな標的分子としてのAPE1の可能性を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
COVID-19の蔓延によりウイルス性心筋炎による心筋傷害および心機能障害が改めて注目されている。ウイルス性心筋炎のマウスモデルにおいては、心筋傷害の程度に依存して心筋APE1発現量の増加することが先行研究で明らかにされたことから、心筋傷害のバイオマーカーとしてのAPE1の診断的意義が想定された。同じく先行研究においてサイトカインストーム状態におけるAPE1の組織障害修飾作用が検出されたことから、APE1を介する炎症~リモデリング促進機序の制御がウイルス性心筋炎における本質的な治療標的となる可能性も示唆された。ウイルス性心筋炎におけるDNA二本鎖切断によるアポトーシスの誘導やROS産生による酸化ストレスの亢進は心筋傷害の主要な機序であり、APE1の作用機序との間に多くの共通性が存在することから、 1)ウイルス性心筋炎においてAPE1が心筋傷害の発生・重症化を早期に検出し得る新たなバイオマーカーとなり得る可能性(診断的意義) 2)APE1がウイルス性心筋傷害の心筋組織修復および心機能回復を促進するための新たな治療標的分子となり得る可能性(治療的意義) の診断・治療にかかる二つの目的を設定し研究を進めている。Coxsackievirus B3 (CVB3)の中でも心筋親和性の高いH3系(CVB3-H3)を標的として、BALB/cマウスへのCVB3-H3の多段階用量による適用下でAPE1 (ELISA)の経時的変化を、非特異的バイオマーカーとして現在臨床使用されている心筋トロポニンT/I、BNP、NTproBNPの経時的変動との比較から検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で研究環境に制約が加わっており当初の予定よりやや遅れて進行せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
Coxsackievirus B3 (CVB3)の中でも心筋親和性の高いH3系(CVB3-H3)を用い、BALB/cマウスに多段階用量で適用し経時的組織学的解析と心機能解析を行い、同時にAPE1 (ELISA)の経時的変化を、現在臨床使用される非特異的バイオマーカーである心筋トロポニンT/I、BNP、NT-proBNPの経時的推移と比較検討する。ウイルス性心筋傷害の経時的組織学的変化とAPE1発現の相関を検討し、DNA損傷、核酸塩基損傷産物、塩基損傷特異的・非特異的修復機構の変化、関連miRNAの変動、酸化ストレス指標とアポトーシスの変動とを比較検討する。さらに、心機能の経時的変化を高解像度心エコーによる心収縮機能・拡張機能評価から明らかにし、 ウイルス性心筋傷害・心機能障害の推移とAPE1の時間的・空間的分布の関連を明らかにする。APE1導入によるウイルス性心筋傷害軽減効果の検証は、培養心筋細胞を用いてCVB3-H3添加細胞傷害に対するAPE1の修飾効果の検討から行い、これを明らかにした後に、最終的にマウスのウイルス性心筋傷害モデルにおける心筋傷害・心機能障害に対するAPE1導入の効果の検証を進める。
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