研究課題/領域番号 |
21K08069
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
長谷川 浩二 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究部長 (50283594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 展開医療研究 / 心不全 / 天然成分 / 情報伝達 / 転写調節因子 / 心筋細胞 / 薬物療法 / 新規薬物療法 |
研究開始時の研究の概要 |
心臓は年齢と共に拡張能が低下することが知られており、超高齢化社会を迎えた日本において、左室拡張障害を伴った心不全は急増している。拡張不全に対して既存の心不全薬物療法は無効であり、細胞内情報伝達の最終共通経路を標的とするという視点から、新規薬物療法を確立することが 是非必要である。本申請研究では、心筋細胞核内情報伝達機構を標的とした左室拡張不全の新規薬物療法の確立を目指した展開医療研究(橋渡し研究)を行う。すなわち、p300結合タンパク質の左室拡張不全・収縮不全における機能解析、ならびに、より有効な安全性の高い化合物による左室拡張不全の新規薬物療法の創薬開発に向けた基盤研究を行う。
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研究実績の概要 |
超高齢化社会の到来と共にますます増加する収縮能の保たれた心不全(HFpEF)に対し、その発症を抑制する新たな治療法を確立することは、社会的・医療経済的急務である。申請者はこの20年間、心筋細胞核内情報伝達機構の解明から臨床現場への展開医療研究を精力的に行ってきた。そして、ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を持つp300が転写調節因子GATA4をアセチル化し、心筋梗塞後心不全増悪させることを明らかにした(Circulation 2006)。さらに、天然物ウコンの主成分でp300のHAT活性を特異的に抑制するクルクミンが、心筋GATA4のアセチル化を抑制することにより高血圧性及び梗塞後心不全の増悪を抑制することを見出した(J Clin Invest 2008)。こうして心筋細胞核の過剰なアセチル化が病的心筋細胞肥大から心不全発症に重要であることが国際的に認識されてきた。さらに、梗塞後心不全においてクルクミンと心不全の標準治療薬であるACE阻害薬は相加的に心機能を改善すること、クルクミンは高血圧から高血圧性心肥大(左室拡張不全)の発症も抑制すること(Nutrients. 2021)を見出した。これにより心筋細胞核内情報伝達を標的とした薬物療法がヒトにおいてHFpEFにも有用である可能性を示した。そこでプラセボを対照として、天然より抽出したクルクミンを90%含み、Drug-delivery system を用いて高吸収化したクルクミン180mg/日を、高血圧性心疾患患者に24週間内服して頂く二重盲検無作為化比較臨床試験を施行した。副作用などは認められず、プラセボに比較して高吸収クルクミンで血中BNP濃度上昇が有意に抑制されることを示した(Eur Heart J Open 2022)。さらに天然成分である[6]-ショーガオールやアンセリンが心不全発症増悪を抑制することも見出した。
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