研究課題
基盤研究(C)
特発性肺線維症は不可逆的に肺の線維化が進行する予後不良の難治性疾患であり、診断時からの平均生存期間は5年に満たない。喫煙などによる肺の慢性的な炎症反応によって生じる組織障害と、その修復・治癒過程における細胞外マトリックスの過剰な合成・蓄積が線維化を引き起こし、最終的に機能障害をきたすと考えられているが、その病態は未解明な点が多く、症状を改善させる新規治療薬の開発が望まれている。本研究は、活性化線維芽細胞が産生する脂質代謝関連分子ANGPTL4に着目し、ANGPTL4産生機構ならびに線維化に与える影響を明らかにし、肺線維症の病態を明らかにすることを目的として実施する。
特発性肺線維症は不可逆的に線維化が進行する予後不良の難治性疾患であり、その病態解明と新規治療薬開発が望まれている。本研究は、肺線維症患者の肺線維芽細胞で高発現する脂質代謝関連分子ANGPTL4に着目し、その産生機構と線維化に与える影響を明らかにすることを目的とした。肺線維症モデルでは、ANGPTL4は肺線維芽細胞選択的に発現が誘導され、その欠損により病態が改善した。肺線維芽細胞ではTGF-b刺激により産生が誘導され、細胞増殖や浸潤、線維化関連分子の発現誘導に寄与していた。以上より、ANGPTL4は肺線維症の増悪因子であることが明らかとなり、診断・治療の有望な標的となることが示唆された。
特発性肺線維症(IPF)は、喫煙などによる肺の慢性炎症が発端となって不可逆的に線維化が進行し、最終的に機能障害をきたす予後不良の難治性疾患である。現在2種の抗線維化薬が治療に用いられているが、その効果は線維化の進行を抑えるに留まり、診断時からの平均生存期間は5年に満たない。よって、IPFの病態を解明し、新たな機序に基づき症状改善を可能とする治療薬の開発が強く望まれている。本研究は、IPF患者の肺線維芽細胞で高発現する脂質代謝関連分子ANGPTL4が線維芽細胞自身の活性化を促す、新規の病態増悪化因子であることを明らかにしたものであり、今後の診断・治療の有望な標的となることが期待される。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (8件)
Japanese Journal of Infectious Diseases
巻: 76 号: 1 ページ: 72-76
10.7883/yoken.JJID.2022.041
American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology
巻: - 号: 3 ページ: 328-339
10.1165/rcmb.2022-0304oc
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 号: 22 ページ: 16230-16230
10.3390/ijms242216230
Shock
巻: 60 号: 1 ページ: 137-145
10.1097/shk.0000000000002145
Commun Biol
巻: 5 号: 1 ページ: 602-602
10.1038/s42003-022-03536-0
Cell Rep
巻: 41 号: 11 ページ: 111828-111828
10.1016/j.celrep.2022.111828
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 23695-23695
10.1038/s41598-021-03149-3
Molecular Brain
巻: 14 号: 1 ページ: 1-12
10.1186/s13041-021-00874-8
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis
巻: 8 ページ: 2783-2793
10.2147/copd.s324952