研究課題/領域番号 |
21K08212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋子 東海大学, 医学部, 准教授 (90286451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺胞上皮細胞 / バリア機能 / TNFa / グルココルチコイド / 創傷治癒 / 放射線肺炎 / ステロイド |
研究開始時の研究の概要 |
近年、手術ができない局所進行肺癌は、放射線、抗癌剤、免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせて治療が行われ、一定の割合で根治も望めるようになっているが、放射線肺炎をコントロールすることが、この標準治療を完遂するのに鍵となる。現在、中等症以上の放射線肺炎にはステロイド治療が行われるが、制御しきれずに肺癌治療を途中で断念することも経験する。そこで、ステロイド治療を補う新たな治療薬の開発をめざして、放射線肺炎の病態のさらなる解明を行い、局所進行肺癌の治療、予後改善に寄与したいと考えている。
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研究実績の概要 |
昨年度にも報告したが、放射線の肺胞上皮細胞単独への照射のみでは、バリア機能障害の程度が軽度であり、そのメカニズムとグルココルチコイドの効果を検討することが困難であり、本来生体ではマクロファージから産生されるTNFaが肺胞上皮細胞傷害をきたすため、TNFaで、肺胞上皮細胞を刺激するモデルで、そのバリア機能障害への影響と グルココルチコイドの影響を検討することとしており、引き続きそのモデルで検討した。TNFaはラット肺胞上皮細胞のバリア機能を障害し、グルココルチコイドは、tight junction 関連蛋白であるZO-1の分布を細胞間間隙に集簇させることによって、バリア機能を改善させる可能性を昨年報告した。今年度はその下流シグナルを検討し、myosine light chain kinase (MLCK)の発現をグルココルチコイドが抑制することでmyosine light chain (MLC)のリン酸化を抑制され、バリア機能を改善させることがわかった。 肺胞上皮細胞傷害治癒モデルに関しては、グルココルチコイドが創傷治癒を遷延させることが判明し、そのメカニズムとして、以前SDF1が肺胞上皮細胞の創傷治癒を促進させることを報告しており、その経路を検討した。グルココルチコイドはSDF1とその受容体であるCXCR4の発現を低下させることがわかり、リコンビナントSDF1蛋白でグルココルチコイドによる肺胞上皮細胞の創傷治癒遷延モデルを刺激した。しかしながら、リコンビナントSDF1蛋白ではその創傷治癒の遷延を回復させることができなかったため、最終年度でさらなる検討をする。
上記の結果は第63回日本呼吸器学会学術講演会で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調にラット肺胞上皮細胞を用いたバリア機能障害に関しては結果が得られていて、現在論文投稿中である。一方、肺胞上皮細胞傷害治癒モデルに関しては、メカニズムの解明ができておらず、後述の方法で検討をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
肺胞上皮細胞傷害治癒モデルに関しては、いくつか創傷治癒を改善させる可能性のある候補因子が判明しており、それらのリコンビナント蛋白を使用して、グルココルチコイドによる肺胞上皮細胞の創傷治癒遅延を回復させる因子をみつけていきたい。
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