研究課題/領域番号 |
21K08269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 信行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (40588456)
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研究分担者 |
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (20466543)
堰本 晃代 東北大学, 薬学研究科, 分野研究員 (40781745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ニコチンアミド / 慢性腎臓病 / 骨ミネラル代謝異常 / ネフローゼ症候群 / アドリアマイシン / 妊娠高血圧症候群 / IgA腎症 / 蛋白尿 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓は血液を濾過して老廃物を尿中に排泄し、血液のナトリウム、カリウム、水分量などを調節し、また、血液が酸性にならないようにしている。血液の濾過は糸球体という部位で、その他の機能は尿細管という部位で行われる。糸球体の上皮細胞の障害があるとネフローゼ症候群のように尿中にタンパク質が漏れ出てくる。尿細管細胞や糸球体上皮細胞の障害が進行すると腎不全となり、血液透析や腎臓移植が必要となる。本研究ではビタミンB3であるニコチンアミドが尿細管や糸球体の上皮細胞に作用して、腎不全になることを予防・治療できるか明らかにする。また、ニコチンアミドの他に腎臓を保護する新しい治療薬開発の可能性を探る。
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研究成果の概要 |
腎臓は血液をろ過する糸球体と濾過液の水電解質等を調節する尿細管からなる。慢性腎臓病は成人の8人に1人が罹患する新たな国民病であるが、進行性の病気であり、有効な治療法はない。ビタミンB3であるニコチンアミドは慢性腎臓病モデルの1つであるアデニン誘発性腎症の発症予防に非常に有用であった。しかし、ニコチンアミドは完成したアデニン腎症を改善・回復せず、予想に反して骨はもろくなった。抗ガン剤のアドリアマイシンは多量の尿蛋白を示すネフローゼ症候群を伴う慢性腎臓病をもたらし、ニコチンアミドはその予防に非常に有用であった。また、ニコチンアミドはIgA腎症とその妊娠高血圧症候群の進行を抑制する傾向を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性腎臓病は、進行性で腎不全となりうる疾患で、血液透析や腎移植などが必要となることがある。現在、慢性腎臓病を回復させることはできず、その進行を抑制し、心血管疾患の発症を避けることが治療目標である。慢性腎臓病のなかにはネフローゼ症候群やIgA腎症のようにステロイドや免疫抑制剤が治療に用いられるのが多くその副作用が問題なっている。ニコチンアミドでこれらの疾患を予防・治療することができれば、ステロイドや免疫抑制剤が不要になる可能性がある。少なくとも、ニコチンアミドをステロイドや免疫抑制剤と併用することによって、これらの副作用を軽減することが可能になると期待され、慢性腎臓病治療法の大きな進歩となる。
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