研究課題/領域番号 |
21K08280
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
泉 裕一郎 熊本大学, 病院, 特任准教授 (20736243)
|
研究分担者 |
向山 政志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40270558)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | NFAT5 / 腎尿細管 / 高血圧 / 免疫応答 |
研究開始時の研究の概要 |
高血圧は、我が国で有病者が推定4000万人を超える国民病であり、心血管疾患、脳卒中、慢性腎臓病の発症、進展の強いリスク因子である。高血圧患者の半数近くが食塩(Na)摂取により高血圧がさらに悪化する食塩感受性高血圧であるとされる。原因として、Naの過剰摂取が腎臓から尿中へのNa排泄を却って妨げるためであることが挙げられるが、その仕組みについては十分に分かっていない。私たちは最近、腎臓の細胞が正常に機能するために重要なNFAT5と呼ばれる分子をマウスで欠損させたところ、食塩感受性高血圧を発症することを見出した。このマウスを詳細に解析することにより、食塩感受性高血圧の発症の仕組みを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、腎臓の尿細管細胞の浸透圧応答転写因子NFAT5 (nuclear factor of activated T-cells 5)を介した、血圧調節の機序を明らかにすること、また、食塩感受性高血圧への関与を明らかにすることを目標としている。 本年度は、尿細管細胞内NFAT5の、腎間質の免疫応答における役割を明らかにすることを目的に実験を進めた。Basal condition下に腎髄質を用いて行ったTSS-Seqにより発現変動した遺伝子群について、clusterProfilerによるGene Ontology解析の後、さらにSTRINGを用いて遺伝子間の相互作用の解析を行ったところ、NFAT5KOマウスで発現が増加したinnate immune responseに関する遺伝子群の解析により、特にcytokine production, lymphocyte activation, macrophage activation, monocyte chemotaxisの活性化が、さらにadaptive immune responseに関する遺伝子群の解析により、T-cell activation, B-cell activation, regulation of cytokine productionが活性化していることが示唆された。 また、TSS-Seqの結果の裏付けのために行ったreal time PCR法にて、KOマウスにおいて免疫応答に関連する遺伝子群(Ccl2やTNF-a、IL-1bやF4/80、TGF-bなど)の発現増加と、高食塩食を与えることでこれらの発現がさら増加する傾向を確認した。 さらに、本研究に付随して交付を受けた独立基盤形成支援によりセットアップした、インキュベーター内設置の生細胞観察顕微鏡を用いて、培養細胞内に発現させたGFPタグ化NFAT5蛋白の動態観察を可能とする実験系を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一時、KOマウスの繁殖が不良となり実験の進捗が遅れたが、繁殖状況は回復し、実験を遂行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、NFAT5KOマウスにおける免疫応答関連遺伝子群の発現増加を念頭に、腎組織を詳細に観察し、マクロファージの浸潤やリンパ管増生の有無を確認する。また、これらの変化に対する高食塩食の効果を検討する。 さらに、ナトリウムと尿素の含有比率を変えた高浸透圧環境でNFAT5発現細胞を培養し、NFAT5の動態や、TNF-a、TGF-b、上皮型ナトリウムチャネルENaCの発現などについて検討する。
|