研究課題/領域番号 |
21K08296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
牧野 輝彦 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (90359711)
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研究分担者 |
清水 忠道 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (70260396)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フィラグリン / DNA分解 / 細胞死 / カルパイン1 / ERH / 表皮角化細胞 / AIF / 有棘細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
角化は生物学的に細胞死のひとつであり皮膚組織構築のなかで重要な位置を占める。我々はこれまでにプロフィラグリンのN末領域(proFLG-ABT)が角化の過程で核内に移行しDNAを分解することを報告した。しかし、その詳細なメカニズムについては未だ明らかではない。本研究ではproFLG-ABTの核内移行におけるカルパイン1の役割、各種DNaseとproFLG-ABTとの関連、proFLG-ABTと核内で結合する蛋白質の探索に焦点をあて、表皮の角化におけるDNA分解機序の全容の解明を試みる。さらに、この研究で得られた知見をもとに効果的でかつ安全性の高い皮膚有棘細胞癌の新規治療法の開発に展開していく。
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研究成果の概要 |
本研究では、まずフィラグリン(FLG)のN末領域(proFLG-ABT)によるDNA分解におけるDNase1L2、DNase2、TREX2、CADの関連を検討したが、直接的な関与はなかった。一方、分化した角化細胞において核内にFLGのN末端とAIFが共局在し、かつTUNEL陽性であった。さらにAIFの発現抑制によりDNA分解は有意に阻害された。 proFLG-ABTと核内で結合する蛋白質の解析では、ERH、SOCS7、eIF6の表皮角化細胞での発現が確認され、さらにSCCにおける発現を検討したところ、ERHの核での強発現がみられ、ERH抑制によりSCC細胞の増殖が抑制されることが見出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の特色は角化において重要な役割を担うフィラグリンを中心に表皮角化細胞のDNA分解機序を解析したことである。近年表皮角化細胞の細胞死はコルネオトーシスと呼ばれる特殊な細胞死であることが提唱され、この細胞死の機序の全容解明は表皮細胞生物学の発展のみならず様々な疾患の病態の解明や新規治療の開発にもつながると思われる。本研究ではカルパイン1-AIF系の細胞死への関与やフィラグリンと核内で結合する分子の機能など多くの新知見が見出されており、学術的にも社会的にもこの領域の発展に大きく寄与するものと期待される。
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